積水化学 耐候性に優れた塩化ビニル管を発売

2015年06月29日

ゴムタイムス社

 積水化学工業は6月29日、耐候性に優れた塩化ビニル管・継手「エスロンUVストロング」を7月1日から発売すると発表した。

 環境・ライフラインカンパニーが開発したもので、工場などの屋外配管向けとして使われる。

 高度成長期に建設された工場配管の老朽化や、工場プラント設備の事故・不具合の発生、さらには企業の社会的責任(CSR)に対する意識の高まりを受け、工場・プラント設備配管の適切な維持管理や、長寿命で安心して使用できる配管材が求められるようになっている。

 また、12年6月に施行された改正水質汚濁防止法により、排液・薬液の地中への漏洩防止や、メンテナンス・維持管理の簡易性が求められるようになったことで、配管を地上化(架空化)することが主流となっている。

 塩化ビニル管は、優れた耐薬品性と軽量・接合しやすさといった施工性の良さ、それに経済性から、薬液・排液、工業用水、廃水、上水、下水などの幅広い用途で使用されてきた。

 しかし、屋外で使用する場合、表層が紫外線で劣化し衝撃強度の低下や変色が起こるのを防ぐため、カバーを付けたり、耐候性のある塗料を塗布することが推奨されている。

 しかも、施工現場では均一な膜厚塗装が困難である上、足場の設置に多大な工数を要すること、塗料によっては数年で塗膜が剥がれ、定期的なメンテナンスが必要になる場合があることなどの課題があり、屋外配管には採用されにくいケースもあった。

 そこで同社では、紫外線による物性低下・変色・塗膜の剥離などを防止する、耐候性向上樹脂を外層にコートしたエスロンUVストロングを開発。塩化ビニル管の特性はそのままに、屋外配管(圧力配管)でも安心して利用できるようにした。

 屋外曝露10年相当試験では、新品の約90%の耐衝撃性能を維持することを確認している。

 同製品を使うことで、不慮のトラブルによる漏水リスクを低減するだけでなく、カバー設置や現場での塗装が不要なため、コストダウンと工期短縮も期待できる。

 また、耐候性向上樹脂により紫外線劣化を外層で抑制。物性の低下や外観の変色が少なく、配管の美観維持にも貢献する。

 さらに、耐候性向上樹脂層と塩ビ層は強固に一体化して剥がれにくいため、配管後の塗膜の剥がれによるメンテナンスがほぼ不要であり、ライフサイクルコスト(LCC)の低減も可能となった。

 同社は調査・診断結果を基に、顧客に提案する長寿命化・機能化製品としてエスロンUVストロングを新たな商材に加え、屋外配管用途での新設・更新需要で、2020年度に売上高10億円を目指すとしている。

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