ランクセス 豊橋事業所で見学会実施 ゴム薬製造工程を視察

2015年06月22日

ゴムタイムス社

自動車業界の中心地ともいえる豊橋港に隣接する明海臨海工業団地内に位置するランクセス豊橋事業所

 ランクセスは6月9日、プレスを対象としたゴム薬品の製造工場「豊橋事業所」の見学会を開催した。

 豊橋事業所では、ラインケミーアディティブスビジネスユニットの製造施設および液体高純化テクノロジーズビジネスユニットのカスタマーテクニカルサービスセンターを設置、運営している。

 製造製品は高性能予備分散ゴム薬品。タイヤおよびゴム産業の顧客のニーズに合わせ、これらの製品を、粒形状、チップ状、板形状など様々な形状で提供している。

 79品種を3直3交代、24時間体制で製造しており、稼働率は過去5年間の平均で約80%となる。年間製造能力は2400t。

ラインケミーアディティブス製造施設、79品種のゴム用添加剤を生産している

ラインケミーアディティブス製造施設、79品種のゴム用添加剤を生産している

 生産開始は1990年、当初はバイエル豊橋事業所のゴム事業部としてスタートし、2002年にラインケミージャパンを設立、今年に入りランクセス日本法人との経営統合を経てランクセスの製造拠点となった。

 出荷は、国内向けで9割、アジアを中心とした海外向けで1割となっている。

 主要顧客は国内タイヤメーカーやゴムホース、自動車部品を製造する自動車用ゴム部品メーカー、OA用ゴムロールを製造するOA機器メーカーなど。

 同事業所では、安全への取組みを最優先事項としており、2013年10月には7000日間(19年間以上)連続無事故を達成し、現在もその記録を更新している。今年末には7500日を達成する見込み。

 さらに改善への取り組みとして5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)や改善提案制度を日本独自で導入するなど、安全対策に注力している。改善提案制度は2年に1度、豊橋事業所の全従業員から改善案を収集し、改善に役立てる制度。昨年の実施では約120件の提案があり、改善委員会が全ての項目を検討し、対策を講じた。

東裕忠豊橋事業所長

東裕忠豊橋事業所長

 長期にわたりサステナビリティ(持続可能性)にも積極的に取り組んでいる。

 2010年にランクセス独自の厳格な管理規格(GQEMS)の認証を取得したほか、2010年以前は10年以上にわたり、ISO14001環境マネジメントシステム規格に準拠して運営してきた。

 また、定期的に本社からの視察を受けるなど、環境、安全を厳しい規格に基づいて管理している。

 環境への取組みでは、10年前に設置された排水処置施設が日々稼働し、廃水による環境への影響を低減させている。

 2012年1月には太陽光発電システムを設置、電力モニターを導入し、二酸化炭素削減にも努めている。

エネグラフ(電力モニター)

エネグラフ(電力モニター)

 ラインケミーアディティブスビジネスユニットの製造施設では、混練り行程、押出し成型工程、冷却行程、梱包行程など、製品が製造される一連の行程を見学した。

 ミキサーで薬品やポリマーなどの材料を練り、押出し成型した後、冷却し、振るいにかけて、製品を出荷用に梱包していく作業を目前でみることができた。

混練り工程では、ミキサーを使用して材料を練る

混練り工程では、ミキサーを使用して材料を練る

最終工程である梱包工程では、出来上がった製品を箱詰めしていく。写真は板形状の製品。

最終工程である梱包工程では、出来上がった製品を箱詰めしていく。写真は板形状の製品。

 次いで、ゴム用添加剤のカスタマーテクニカルサービスセンターを見学した。

 同施設では、試作品の作成や工場で出来上がった製品の試験が行われている。

 試験では、硫黄の濃度測定、分散状態の確認、粘度、密度の確認をしている。

 最も重用視している硫黄の濃度測定では、製品を燃焼させ、ガス状態にし、硫黄濃度を測定することにより、コンパウンドの処方に間違いがないか確認する。

液体高純化テクノロジーズ豊橋ラボ、アジアからのテストにも対応している

液体高純化テクノロジーズ豊橋ラボ、アジアからのテストにも対応している

 分散状態の試験では、コンパウンドの分散不良を調べる。

 試験方法は二つあり、一つは製品を切断し、デジタルマイクロスコープを用いて、断面に偏りや固まりがないかを目視で確認する方法。固まりがあるということは、分散がうまくいっていないことになる。

 もう一つは、サンプルをプレスして、シート状にし、光を当てながら目視することにより、分散がうまくできているか確認する方法。より厳しい検査が必要な場合はプレスする方法を選択するとのこと。

 試作品の作成では、小型のバンバリーミキサーで、顧客からの要望に合わせた試作品などを作成している。

 続いて、見学した液体高純化テクノロジーズビジネスユニットのラボでは、顧客から持ち込まれたイオン交換樹脂の分析や日本市場向け新製品の検査などを行っている。国内のみならず、アジア各国からの依頼にも対応している。

 ランクセスは、2015年1月1日付けでラインケミージャパンと経営統合した。

 ゴム薬品ビジネスユニットの特殊化学品ラインと機能性化学品ビジネスユニット、ならびにラインケミービジネスユニットを、「ラインケミーアディティブスビジネスユニット」に統合した。

 グローバルで行う事業再編の一環で、14ビジネスユニットから10ビジネスユニット体制となった。

 「ラインケミーアディティブスビジネスユニット」は、ランクセスグループ内の添加剤ポートフォリオを統合し、ラインケミーブランドの下で事業展開を図っている。これにより、日本およびグローバル市場において、より包括的なサービスの提供が可能となった。

 ランクセス豊橋事業所の概要

 ▼所 在 地=愛知県豊橋市明海町3ー54(明海臨海工業団地内)

 ▼事業内容=高性能予備分散ゴム薬品の製造

 ▼生産開始=1990年8月

 ▼従業員数:23名

 

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