中島ゴム工業 加硫接着剤フィルム新発売 VOC削減で現場に寄与

2015年05月23日

ゴムタイムス社

 工業用ゴム製品の開発・成形加工をはじめ、自動車用フッ素ゴムパッキングなどの製造を行う中島ゴム工業㈱(福岡県久留米市、中島幹雄社長)はこのほど、新製品の「加硫接着剤フィルムACULAH®」を開発し、販売を開始した。

 新製品は上塗り・下塗りを行う2層タイプの加硫接着剤(シクソン、ケムロック、メタロックなど)を樹脂フィルム上に均一に塗布したフィルム。

従来技術では、金属・樹脂・布などの接着対象物上で上塗り・下塗りの2回の塗布・焼き付けが必要だったが、同製品を接着対象物上で熱と圧力をかけて転写することにより、上塗りと下塗りの2層を有する接着剤を一度で塗工できるようになった。その結果、作業時間の短縮・コスト削減を実現した。

 主な特長は、作業者の現場環境に配慮していること。今までは、接着塗布工程でVOC(揮発性有機化合物)からの作業者保護対策が必要だったが、同製品はVOCの発生がないため、作業用マスク・排気設備などが不要となった。また、接着剤塗布用スプレーをはじめ刷毛、焼付乾燥用オーブンなどの設備も不要となるなど設備コストの削減も訴求した。

 そのほか接着剤の膜が均一にでき、塗着効率がスプレー塗布法などと比較した結果、塗着効率が大幅に向上し、現行の液体タイプの加硫接着剤よりも長期に渡って接着力を維持する保管性も優れているという。

 同製品の転写方法については、成形済みのゴムやエラストマーを用いた転写法、真空(圧空)を用いた転写法、アイロンや電気コテを用いた転写法など3つあり、同社ホームページから各転写法の動画を見ることができるように配慮した。

 同製品は防振ゴム、オイルシールなどの自動車部品や建築用免震ゴムなどに使用するほか、ライニングなどの工業用用品にも使用できる。同製品の特許は取得済みで、その応用特許はPCTとして現在出願中であるという。

 中島社長は同製品について、「現場ではVOCによる安全面での懸念事項が多いと聞くが、ACULAHはVOCが発生しないため、お客様には高い評価をいただいている。現在は金属とゴムの接着で展開し、将来的には、ゴム以外の業界でも横展開をしていいきたい」と抱負を語った。

 同製品に関する問い合わせは同社(0942―37―1500)および三井物産プラスチック㈱(03―6328―5031)まで。

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