クラレ オーストラリアのバリアフィルム事業会社を買収

2015年04月09日

ゴムタイムス社

 クラレは4月8日、オーストラリアのゴードン マーチャント No.2より、同社が保有するバイオマス由来のバリアフィルム事業を展開する、オーストラリアのプランティック テクノロジーズ(以下「プランティック社」)の発行済株式の全部を取得する株式売買契約を締結し、同契約に基づく株式取得手続きを4月2日に完了したと発表した。

 プランティック社は2001年設立。オーストラリア・ビクトリア州アルトナ市に所在。売上高は約30億円(2015年予想)、従業員は約70名。

 同社は1972年に世界に先駆けて、プラスティックの中で最高レベルのガスバリア性を有する「エバール」(エチレン―ビニルアルコール共重合体)を事業化し、食品包装材料やガソリンタンク等のバリア化のニーズに応えてきた。さらに、レトルト食品の普及・拡大に対しては、高いガスバリア性を付与した透明バリアフィルム「クラリスタ」を開発・上市し、幅広いニーズに対応している。

 同買収は、世界的に顕在化している食品包装材料のバイオマス化というニーズに合致するバリア材の提供を可能にするもの。また、独創性の高い技術で産業の新領域を開拓し、自然環境と生活環境の向上に寄与するという同社の企業ミッションに沿ったもので、「エバール」に代表されるバリア素材のリーディングカンパニーとして事業の更なる拡大を図るもの。

 Plantic 社は、バイオマス由来のバリアフィルム事業におけるグローバルリーダーです。プランティック社の「プランティック」フィルムは、バリアパッケージの分野で幅広く使用されており、豪州、北米、欧州の大手スーパーなどで生肉、加工畜肉、鮮魚や生パスタ等の包装に採用されはじめている。今後は同社のグローバルネットワークを活用して、バイオマス由来のバリア材事業を拡大し、世界的な食品の消費期限延長やロス低減に対する要求の高まりに応えていく。

 オーストラリアでは、「プランティック」フィルムは大手スーパーで採用されるなど、普及が進みつつある。最大の食肉需要国である米国においては、現地生産あるいは他社とのアライアンスを視野に入れた事業拡大を図る。また、生肉やその他生鮮食品の消費期限延長が期待されている日本市場においては、プランティック」フィルムによる食品包材のバリア化を推進し、食品ロスの低減に貢献していく。これらの施策によりバイオマス由来のバリア材事業の拡大を図り、3年後にグローバルで売上高100億円を目指す。

 また、同社で培ってきたバリア材料の応用技術を活かして、食品包装材料以外の用途においても新たな提案が出来るシナジーの発現を目指していく方針であり、世界市場におけるバリア素材の拡大・強化をいっそう加速させていくとしている。

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