宇部興産の4~12月期 営業減益も経常は2ケタ増

2015年02月04日

ゴムタイムス社

 宇部興産は2月3日、東京・茅場町の鉄鋼会館で決算発表会を開催し、泉原雅人常務執行役員が説明を行った。

 2015年3月期第3四半期連結決算の売上高は、4737億7600万円で前年同期比0・6%減、営業利益は143億3700万円で同12・6%減、経常利益は139億1200万円で同16・0%増、四半期純利益は51億2900万円で同46・7%減となった。

 営業利益は減益となったものの、第2四半期に比べ減益幅が縮小しており、通期では増益に転じる見込み。営業外損益が為替効果などにより改善したことで、経常利益は増益となった。

 ただし、特別損益については前年同期に発生した負ののれん発生益がなかったこと、子会社のウベボードの解散決定による撤退損が発生したことなどで、前年同期に比べ80億円減少。これにより、四半期純利益も減益となった。

 セグメント別の業績では、最も減収幅(金額)が大きかった化成品・樹脂は、ナイロン原料のカプロラクタムの減収が大きく響いた。中国市場を中心に供給過剰の状態が続く中で、需要も伸び悩んだことにより販売価格が低下。さらに、堺工場での生産を停止したことで販売数量が減った。

 利益面は赤字ではあるものの、改善する方向に転じている。カプロラクタムのスプレッドが前年同期に比べ悪化している一方、堺工場の生産停止は37億円の損益改善効果をもたらした。

 なお、ナイロン樹脂や合成ゴムのポリブタジエンなどは増収増益となっている。

 この結果、同セグメントの売上高は1594億1000万円で同3・2%減、セグメント利益は16億9100万円の損失となった。

 次に減収幅が大きかった建設資材は、セメント・生コンと建材製品の需要自体は旺盛な状態が続いているものの、工事現場での人手不足などによる着工遅れの影響もあり、国内出荷が前年同期をやや下回った。

 一方、輸出は東南アジアを中心とした旺盛な海外需要を背景に、数量・価格ともに好転。各種リサイクル事業の増収もあり、全体として堅調に推移した。

 利益については、生コンなどの数量減の影響はほとんどなく、石灰石や石灰石関連製品の販売増により、むしろ増益となった。

 これにより、同セグメントの売上高は1669億5700万円で同0・6%減、セグメント利益は、第3四半期としては過去最高となる125億8000万円で同4・7%増となっている。

 一方、増収となったエネルギー・環境は、設備トラブルで停止していたIPP発電所が14年10月に再稼働したことで、売電量が増加したほか、販売炭の売上数量も堅調だった。

 利益面では、IPPによる売電量の増加と、前期に発生した補修費がなくなったことがプラスに作用した。

 この結果、同セグメントの売上高は496億4300万円で同11・1%増、セグメント利益は18億8000万円で同43・3%増となった。

 減益幅が最も大きかった機能品・ファインは、リチウムイオン電池材料の電解液・セパレーターともに出荷は伸びたものの、車載用途が顧客の計画遅れにより価格が下落したことが響いた。

 同セグメントの売上高は465億2300万円で同1・2%減、セグメント利益は19億6400万円の損失となっている。

 機械・金属成形は、自動車産業向けを中心とする成形機製品の出荷が第4四半期に集中しているため、比較的採算性の低い案件が多かった第2四半期までの影響が残った。

 これにより、同セグメントの売上高は536億円1000万円で同1・1%増、セグメント利益は18億4000万円で同40・8%減となった。

 医薬の売上高は60億6200万円で同11・6%減、セグメント利益も10億7600万円で同12・7%減。その他の売上高は246億6000万円で同15・5%増、利益も9億4700万円で同11・0%増となっている。

 通期の業績予想については、前回(14年10月16日)発表の数字を据え置いた。売上高は6600億円で同1・5%増、営業利益は260億円で同6・5%増、経常利益は220億円で同17・7%増、当期純利益は125億円で同1・0%減。

 泉原常務は「建設資材部門の上振れが見込まれる上、売上・利益が第4四半期に集中している部分があるので、なんとか通期の予想を達成したい」と述べていた。

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