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【コラム連載シリーズ】世界のゴム事情1 中国の変調 加藤進一

2015年01月05日

ゴムタイムス社

世界のゴム事情

 中国の変調

 皆さん明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
 最近は、天然ゴム、ナフサ、ブタジエン等のゴム原材料が安くなってきています。2014年は、中国の変調がはっきりしてきた年でした。

中国は今まで急速な経済発展をとげ世界の約30%のゴム原材料を消費していました。中国も「我々は世界のゴム大国である」と自負してきました。

しかし昨年からその消費の伸びが急に減ってきています。昨年11月に当社は中国ゴム工業協会らと共同で、日中ゴム産業フォーラムを東京で開催しました。

その際中国ゴム工業協会副会長との会食で、いま中国国内では原材料の生産能力が過剰になっている。合成ゴム(SBR、BR)は、需要に対して生産能力が20%ぐらい、カーボンブラックは30%ぐらい過剰になっているとの話でした。カーボンブラックの生産能力余剰分は年間150万トンあるといいますが、これだけで日本のカーボンブラック全生産能力の約2倍に相当します。

 過去5年間以上中国は年率8%以上で経済成長しており、今後はもっと多量のタイヤ、ゴム製品が必要になるという予測データーに基づき中央政府系、地方政府系、民間系のいろいろな会社がタイヤ、ゴム分野に投資してきました。しかし2014年は中国のタイヤゴム原材料消費量は2013年に比較して+3%程度です。タイヤ生産用だけでみると1%以下の伸びです。実質ゼロ成長です。

 現在中国にはタイヤメーカーだけで500社以上あります。各地の金持ちが、タイヤは儲かると考え、小型のタイヤ工場(その多くは自転車、オートバイですが)をあちこちに工場を建設したからです。中国ではタイヤの作り方なる本が販売されており、とりあえず機械と材料を買えば、簡単なタイヤができる仕組みになっています。上海の上海書城という大手書店のゴム関係書籍売場には、タイヤ、ゴム製品の作り方、配合1000種類の本等が何十冊も販売されています。

 中国でタイヤ工場の数がどんどん増えてくると、合成ゴム、カーボンブラック、ゴム薬品メーカーも大幅に工場を増設してきました。政府系の会社は予算を申請し、大プロジェクトと称して、あちこちで毎年SBR、BR工場の新設増設をしてきました。いったん予算が承認されれば、操業開始後のマーケット状況、操業率、採算などは考えずに、とにかく工場を完成させます。完成させないと、次の予算が獲得できません。一方民間系の会社は、銀行から借金して工場を建てます。市況が悪くなり、日本であれば、工場建設延期、稼働延期となるのでしょうが、中国では銀行から金を借りると、その融資条件のためになにがなんでも工場を完成させなければならないので、途中で


 

加藤進一著
世界のゴム事情2018年冊子版
世界のゴム事情2017年冊子版
世界のゴム事情2016年冊子版
世界のゴム事情2015年冊子版