ブリヂストン グローバル経営基盤を構築 原料内製から広域販売網に強み

2011年09月12日

ゴムタイムス社
左・記者会見する荒川社長、右・江藤執行役員

左・記者会見する荒川社長、右・江藤執行役員

 ㈱ブリヂストンの荒川詔四社長は9月5日、本社で記者会見を開き、グローバルに展開する同社グループ経営の基本的な考え方を発表、グループの優位性である縦と横の広がりを生かした経営モデルの構築が着実に進展していることを明らかにした。この中で、急激な円高による為替動向への対応について「当社グループのタイヤ海外生産比率が約7割となっていることから、円高への耐性は高く、足元の為替動向に事業の形が大きく振り回されないような経営となっている」と述べ、グローバル経営基盤が構築されつつあることを強調した。

 荒川社長は会見の中で、「中期経営計画のローリングにより目指すべき方向を変えることなく、時々の事業環境にグループ最適の視点で的確に対応していくのがグループ経営の基本である」とし、当面の経営目標として掲げてきた2012年度にROA6%を織り込んだ中計「MTP2011」を10月21日に発表することも明らかにした。
 また、荒川社長は同社グループの優位性である縦と横の広がりを生かした経営モデルについて「タイヤ事業においてサプライチェーンの上流である原材料内製拠点から下流である小売チャネル網を有する縦の広がりと、地域的にグローバルな広がりをもって展開できる横の広がりは当社グループにおいて優位性そのものであり、他社が簡単に真似をすることができない強みである」と強調。
 その具体例として、荒川社長は「今回の東日本大震災に対して当社グループのサプライチェーンが持つ横の広がりを活用することで原材料調達と販売先への供給の両面において柔軟な対応ができたことはその証左である」と述べた。
 その上で「東日本大震災のように、想定し得ない自然災害までをもリスク要因として位置づけながらグローバルでオペレーションを行うことの困難度が非常に高いことを改めて感じている」とし、そのリスクを避けるためにはリーン&ストラテジックの考え方に基づいた取り組みを常に徹底し、海外投資においても一点集中型ではなく、「一本足打法のような不安定なオペレーションにならないように投資先、規模などをリスクヘッジ視点で最適化を図る必要がある」と説明した。
 また、同社の原材料価格高騰影響額の売値改善カバー率は2003年から2010年の累積ベースで8割強。「現時点で計画している売値改善のみではすべてをカバーしきれていない状況にある。特に日本市場での売値によるカバー率は他市場に比べ低く、非常に厳しい」とした。
 さらに、下期以降の需要動向については、販売数量増及びマーケット、プロダクトミックスによる販売ミックス良化への販売施策を力強く推進することで前年並みあるいは前年以上を見込んでいるが、自動車生産の回復による新車向けタイヤ供給不足懸念については「新車生産の回復で本年10月から12月にかけての新車向け乗用車用タイヤの100%の供給は厳しくなると認識している。タイヤ工場は24時間フル稼働で簡単に増産が効かない。このため年末年始の稼動で供給量を増やしていきたい」と述べた。

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