BASF 2014年第1四半期の業績を発表

2014年05月12日

ゴムタイムス社

 BASFは5月2日、2014年第1四半期の業績を発表した。ドイツのマンハイムで行われた年次株主総会にて、取締役会会長のボック氏は、「2014年に好調なスタートを切った化学品部門と農業関連製品部門は増収となった。米ドルと新興国通貨の為替のマイナス効果を補って余りある」と述べた。しかし、石油・ガス部門は大幅な減収になった。同社グループ全体の売上高は前年同期比1%減の195億ユーロだった。
 特別項目控除前EBITは21億ユーロで、前年同期比3%減。高性能製品部門や機能性材料部門の収益は大幅に改善したが、石油・ガス部門の収益貢献度は大幅に低下した。
 2014年第1四半期のEBITには、合計1億900万ユーロの特別項目が含まれている。主に、他社運営の英国北海油田・ガス田の権益売却に伴う特別収入によるもの。これにより、EBITは前年同期比8000万ユーロ増加して22億ユーロに達した。また、利息・税金・償却控除前利益(EBITDA)は、9600万ユーロ増加して30億ユーロとなった。金融収支は、前年同期よりも5700万ユーロ減少し、マイナス1億8300万ユーロ。
 2014年第1四半期の税引前及び少数株主持分控除前利益は、前年同期比2300万ユーロ増の21億ユーロ。純利益は3100万ユーロ増の15億ユーロとなり、1株あたりの利益は、前年同期の1・57ユーロに対して1・61ユーロだった。
 2014年の世界の経済環境に対する同社の予測は従来と変わらず、GDP成長率は2・8%、工業生産の成長率は3・7%、化学品生産の成長率は4・4%。ユーロ/ドルの平均為替レートは1ユーロ=1・30ドル。年間平均原油価格は1バレル=110ドルと予測している。
 「2014年の世界経済は、前年より若干早いペースで成長すると予想している。為替動向が好ましくない中でも増益見通しを維持している。特別項目控除前EBITは、高性能製品部門や機能性材料部門の貢献度が大幅に拡大し、やや増加するだろう」とボック氏は述べている。
 売上高は、2014年半ばに予定しているガス取引・貯蔵事業の売却により、若干減少することが予想される。EBITは大幅に増加する見込み。それには、予定されているガス取引・貯蔵事業の売却に伴う特別利益が大きく寄与する必要がある。
 同社は、米国のメキシコ湾沿岸にメタンからプロピレンを製造する世界規模の工場建設を検討している。
 部門別では、「化学品部門」の売上高は前年同期と同水準を維持した。販売価格の低下と為替のマイナス効果は販売量の増加により吸収された。販売量の増加は、とりわけ中間体事業本部の需要の増加、ならびに石油化学品事業本部の主に北米での販売量の増加によるもの。利益率の減少によりわずかに減益となった。
 「高性能製品部門」の売上高は、販売量の増加により前年同期と同水準を維持した。徹底した固定費管理が奏功し、利益は大幅増となった。
 「機能性材料部門」の売上高は、主に自動車産業の需要拡大により販売量が増加したため、前年同期の水準をやや上回った。為替のマイナス効果により売上高の伸びは縮小。また、建設化学品事業本部は、ポートフォリオの影響により売上高がやや減少。利益は前年同期の水準を大幅に上回った。
 「農業関連製品部門」は大幅に増収。主に北半球地域が好調なスタートを切ったことに起因している。為替のマイナス効果は、販売量の増加と販売価格の上昇が大幅にそれを補うものとなったため、わずかながらも増益となった。
 「石油・ガス部門」 の売上高は、前年同期を大幅に下回った。天然ガス取引事業部は、欧州が暖冬だった影響で販売量が前年よりも大幅に減少した。一方、探索・生産事業部は、前年同期と同水準の売上高を維持。主にノルウェーの産油量が増加したことに起因するもの。天然ガス取引の利益率の低下と販売量の減少にリビアの減産も加わり、同部門は大幅な減益となった。
 「その他」に分類される事業の売上高は、やや増加。主に原材料取引の販売量の増加によるもの。しかし、特別項目控除前EBITは大幅に減少した。主に、為替差損と長期インセンティブ制度の評価の影響によるもの。2013年第1四半期に引当金が戻入されているが、同社の株価上昇によって2014年第1四半期に引当金の積み増しが発生した。
 地域別の業績では、欧州地域の売上高は前年同期比3%減。石油・ガス部門の売上高の大幅減が主な原因だ。天然ガス取引事業は、主に冬季の気温が過去平均を上回ったことで販売量が減少し、販売価格は低下した。一方で、農業関連製品部門は大幅な増収となった。特別項目控除前EBITは、石油・ガス部門の貢献度が大幅に低下したのを受け、1900万ユーロ減少し、15億ユーロとなった。
 北米地域の売上高は、米ドル建てで9%、ユーロ建てで5%増加。特に販売量が大幅に増加したのが、石油化学品事業本部と触媒事業本部。しかし、為替の影響に加え、販売価格が低下したため、同地域の売上高の伸びは抑えられた。利益は、主に石油化学品事業本部と農業関連製品部門が大きく貢献したため、4億9100万ユーロで前年同期の水準を3700万ユーロ上回った。
 アジア太平洋地域の売上高は、現地通貨建てで7%増、ユーロ建てでは1%増となった。販売量はすべての事業部門で増加した。為替のマイナス効果と販売価格の低下を受けて、売上高の伸びは鈍化した。利益は、前年同期を7100万ユーロ下回り、1億7400万ユーロ。これは主に化学品部門の貢献が大幅に低下したことに加え、「その他」で計上された為替差損によるもの。対照的に、機能性材料部門の利益は大幅に改善した。
 南米、アフリカ、中東地域の売上高は、現地通貨建てでは10%増加し、ユーロ建てでは10%減少した。販売価格の改善と販売量の回復は、大幅な為替のマイナス効果の一部を吸収するにとどまった。農業関連製品部門は大幅な減収。為替のマイナス効果と、販売量の減少および販売価格の低下が営業活動の妨げとなったため。アルゼンチンの石油・ガス部門の貢献が大きかったにもかかわらず、同地域の利益は前年同期比2100万ユーロ減少し1700万ユーロとなった。これは「その他」で計上された為替差損によるもの。

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