東洋ゴム 成長市場での事業基盤整備進む

2011年09月06日

ゴムタイムス社
記者会見する中倉社長

記者会見する中倉社長

 東洋ゴム工業㈱の中倉健二社長は8月30日、記者懇談会席上、成長市場で進めているタイヤ新工場建設及び増強工事の進捗状況を明らかにするとともに北米のタイヤ工場「トーヨータイヤ ノースアメリカ」(TNA)における累計タイヤ生産本数が1000万本を突破したと発表した。 また、TNAの第3期能力増強が本年8月末に完了したことを受けて、「中期経営計画では2015年度に年間生産能力を650万本とする計画であったが、早期の段階でこの供給を可能とする体制が整った」とし、タイヤ事業での基盤整備が急ピッチで進んでいることを明らかにした。
 東京本社機能の大阪本社統合については「戦略事業の迅速なグローバル展開の強化、組織集約による重複機能の解消、迅速な意思決定による経営のスピードアップを図ることにより、関西圏での経営機能を充実させるためだ」と述べた。
 成長市場での新工場、増設計画の進捗状況は次のとおり。
 北米タイヤ工場(TNA)
 2005年に操業を開始、年間200万本からスタートし、2008年に第2期増強に着手。2010年から開始された第3期増強が2011年8月末に完了した。乗用車用タイヤ換算で年産650万本の生産能力を有する。
 同社が独自に開発した材料工程~成型工程を一体化し、市場の需要動向に素早く対応できる多品種少量生産システム「A.T.O.M.」の採用で高品質なタイヤ生産が可能となった。
 「生産されたタイヤはユニホーミィティに優れ、米国市場でも高い評価を得ている。高価格で取引されており、東洋ゴムグループの収益源となっている」(中倉健二社長)
 中国新工場(張家港)
 2011年12月に生産を開始する計画。乗用車用、ライトトラック用タイヤを製造販売。年産200万本。資本金50百万米ドル。「A.T.O.M.」の要素技術を取り入れた最新の工法で、低燃費タイヤなどの高付加価値品を中国市場に供給していく。
 中国・東洋輪胎(諸城)
 2011年6月にシルバーストーン中国工場が東洋輪胎(諸城)有限公司として東洋ゴムグループ入り。トラック・バス用タイヤの生産拠点。東洋タイヤブランドの生産を早期に供給開始し、現行の年産40万本から2012年には年産50万本へ増強予定。中国を中心に北米など海外市場への供給を視野に入れている。
 マレーシア新工場
 2013年1月から乗用車用タイヤの生産を年産250万本からスタート。2015年度には500万本の生産ができるよう段階的に増強。建設予定地の敷地面積は約48万㎡で2020年度までのできるだけ早い段階で年産1000万本までに増強する計画。
 「A.T.O.M.」の要素技術を取り入れた新工法を導入。「マレーシアはTPPに参加表明しており、近隣諸国との貿易障壁もなく、重要な輸出拠点となる」(同)
 ダイバーテック事業
 無錫東洋美峰橡胶制品制造有限公司
 無錫市美峰橡胶制品制造有限公司(美峰ゴム)との合弁による鉄道車輌用部品(空気ばね、防振ゴム)を製造、販売する新会社「無錫東洋美峰橡胶制品制造有限公司」を中国江蘇省無錫市に本年10月に設立する。稼動予定は2012年6月。 2015年度12億円の販売を見込む。「中国における在来線や地下鉄向けの補修市場への参入を図る。事業の将来性に大変期待している」(同)。

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