ランクセス 2013年度通年の業績を発表

2014年03月26日

ゴムタイムス社

 ランクセスは2013年度通年の業績を発表した。
 2014年度第1四半期の特別項目調整前EBITDAは約2億ユーロを予測。これに対し、2013年度同期の特別項目調整前EBITDAは、製造プラント稼働の初期費用など複数の要因で、1億7400万ユーロだった。
 同社は、2月26日発表の2013年度業績速報値を確認し、同年度通年のグループの連結売上高は前年比9%減の83億ユーロとした。原料価格の低下で、パフォーマンスポリマーズ部門の製品売価が値下げになったことと、厳しいビジネス環境が主な要因。特別項目調整前EBITDAは、前年比40%減の7億3500万ユーロで、同社の予測範囲内。
 販売量は微増となったが収益減を相殺するに至らなかった。特別項目調整前EBITDAマージンは8・9%(前年=13・4%)。
 2013年度第4四半期で純利益に影響を与えた重要項目は、パフォーマンスポリマーズ部門(ケルタン・エラストマーズとハイパフォーマンスエラストマーズの両ビジネスユニット)とパフォーマンスケミカルズ部門(ゴム薬品ビジネスユニット)における2億5700万ユーロの減損損失、経営効率化に向けた「アドバンス」プログラムを推進するための特別損失約3000万ユーロ。その結果、2013年度通年は1億5900万ユーロの純損失、1株あたり利益はマイナス1・91ユーロとなった。これに対し、2012年度通年の純利益は5億800万ユーロ、1株あたり利益は6・11ユーロだった。
 同社の経営委員会は、5月22日開催の年次株主総会で2013年度の配当金として1株あたり0・5ユーロを提案予定。配当総額は約4200万ユーロとなる。2012年度の配当金は1株あたり1ユーロだった。
 設備投資のキャッシュアウトは、6億2400万ユーロに減少(前年=6億9600万ユーロ)。営業キャッシュフローは前年比1億9700万ユーロ減となり6億4100万ユーロ。純金融負債は前年比2億4800万ユーロ増の17億ユーロ。
 地域別業績は、アジア太平洋地域の売上高は前年と同水準を確保し、前年比約3%減の21億ユーロとなった。パフォーマンスポリマーズ部門とパフォーマンスケミカルズ部門は、一桁台の前半から半ばのパーセンテージの事業成長率を達成。中華圏における売上高は、前年に続き10億ユーロ超の好業績。グループの総売上高における同地域の売上高の割合は26%に増加した。
 EMEA地域の売上高は、前年比約5%減の24億ユーロとなったが、グループの総売上高における同地域の売上高の割合は29%に増加した。
 ドイツの売上高は、前年比約8%減の約15億ユーロ、グループの総売上高の17%。北米地域の売上高は、前年比約17%減の13億ユーロ、グループの総売上高の16%。中南米地域の売上高は、前年比約19%減の10億ユーロで、グループの総売上高における同地域の売上高の割合は12%。
 BRICS諸国の売上高は、前年比約7%減の20億ユーロで、グループの総売上高における同地域の売上高は前年同様24%を占める。
 事業分野別の業績は、2013年度のパフォーマンスポリマーズ部門の売上高は、前年比約13%減の約45億ユーロ。原料価格の大幅な低下と変動(特にブタジエン)で、製品売価は15%の値下げとなった。為替差損の影響も受けた。ブチルラバーとハイパフォーマンスマテリアルズの両ビジネスユニットで製造能力増強も行われ、販売量は前年比約4%増となった。
 特別項目調整前EBITDAは、前年比約52%減の3億8900万ユーロ。在庫評価減、在庫調整、シンガポールの新ブチルゴム製造プラント稼働の初期費用、製品売価の値下げと為替差損が利益に影響を与えた。
 アドバンスト中間体部門の売上高は、前年比微減の16億ユーロ。製品売価の値上げが販売量の微減を相殺した。為替差損も売上に影響した。同部門の両ビジネスユニット(アドバンスト工業化学品とサルティゴ)は、特に農薬業界で堅調な需要がみられた。
 特別項目調整前EBITDAは、前年比約6%減の2億8600万ユーロ。製品売価の値上げと原料価格の低下が、販売量の減少、製造コストの増加、為替差損による減少分を相殺した。
 パフォーマンスケミカルズ部門の売上高は、前年比約3%減の21億ユーロ。特に3%の為替差損、製品売価と販売量のわずかな低下による。
 特別項目調整前EBITDAは、前年比18%減の2億3100万ユーロ。特に製造コストの増加、加えて原料価格の微増、販売量の減少、製品売価の値下げ、為替差損によるもの。
「アドバンス」プログラム向けに計上された特別損失1億5000万ユーロの内、2013年度は1億1000万ユーロが発生した。同社は、同プログラムで2015年度以降年間約1億ユーロの削減を目指す。
 完全出資子会社のペルロン―モノフィルGmbHはセラフィングループ(ドイツ・ミュンヘン)に売却した。
 同社では、2014年の合成ゴムの市場環境は厳しい状況が継続すると見ている。引き続き為替レート(特に米ドル)の大幅な変動や原料価格の変動も続くと予測する。
 2014年度第1四半期の業績はズヴェインドレヒト拠点で発生したストライキが影響すると予想。同拠点におけるブチルゴム製造は約3週間停止している。
 同社は、製品売価が低い水準でも一時的な費用が発生しないことで、2014年度通年の特別項目調整前EBITDAは微増すると予測している。
 当期の設備投資額は2013年度と同水準を予定。そのほとんどは、2015年稼働開始のシンガポールのネオジウム触媒ポリブタジエンラバー(Nd―BR)製造プラントと中国のエチレンプロピレンゴム(EPDM)製造プラントの建設に投資される。2014年度第3四半期には、ポリアミド製造プラントがアントワープ拠点で稼働開始。2015年度の設備投資額は大幅に縮小され、主に既存プラントの拡張と維持管理に使われる。

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