三菱化学 ZEB対応の薄膜太陽電池外壁ユニット導入

2014年03月26日

ゴムタイムス社

 三菱化学は3月24日、大成建設とともに、世界で初めて有機薄膜太陽電池を用いた発電する建物外壁ユニットを開発し、大成建設が都市型ゼロエネルギービル(以下ZEB)の実現に向け建設を進めている建物へ導入し、実証試験を開始することにしたと発表した。
 同社は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「有機系太陽電池実用化先導技術開発」に採択され有機薄膜太陽電池の実証実験を進めてきた。
 近年、建物の省エネや災害時における機能維持に関する要求が高まっており、快適性を損なわずに消費エネルギー量を削減し、その上で必要なエネルギーを再生可能エネルギー等で賄うことで年間の消費エネルギーを限りなくゼロにする「ZEB」の実現へ向けた取り組みが加速している。
 太陽光発電は、その要素技術において日本が世界をリードする再生可能エネルギーだが、パネルの設置面積が限られる都市部の建物においては、より多くの発電量を確保するために、屋根や屋上面への設置に加え壁や窓などの側面を有効活用することが必須となる。しかし、建物の外壁へ設置するためには、サイズや色など建物に求められるデザインに対応できるフレキシブル性や軽量性、また、建物の長寿命化に伴う機器更新の容易さなどが必要となり、本格的な建物の外壁対応型太陽光発電パネルは今まで実用化されていなかった。
 両社で開発した同ユニットは、上記の課題を解決するために、薄くて軽く、色の自由度を持ち合わせ意匠性が高い同社の有機薄膜太陽電池(NEDOの「有機系太陽電池実用化先導技術開発」助成事業で開発中)を使用し、建物外装に関する設計・施工において多くの実績とノウハウを有する大成建設の技術を用いる事で、クリーンで持続可能なエネルギーを供給しつつ、建物の多様な階高やスパンへの適応、多様な色の選定が可能な意匠性、軽量性、将来の機器更新の容易性等を併せ持つ本格的な発電する外壁ユニット。
 両社は今後、大成建設が技術センター内に建設中の「ZEB実証棟」へ、今般共同開発した「有機薄膜太陽電池外壁ユニット」を導入し、実用化に向けた実証を進めていくとしている。
 ゼロエネルギービルとは、経済産業省の研究会により2009年に「建築物や設備機器の省エネルギー性能の向上、エネルギーの面的利用、敷地内での再生可能エネルギーの活用などにより、建築物における年間の1次エネルギー消費量を正味(ネット)でゼロまたはおおむねゼロとする建築物」と提唱されている。世界的にも、気候環境が良くエネルギー負荷の比較的少ない地域で屋根面積を大きく取り太陽光パネルによる発電量を確保できる建物での事例が多く、都市の建物における実現は難易度が高いとされている。

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