新春トップインタビュー  JSR

2014年01月13日

ゴムタイムス社

新春インタビュー JSR 事業変革に結果を出す年 「将来の持続的成長」を確立

 

 

 エラストマー事業ではS―SBRのハンガリー新工場の建設を決め、損益分岐点を下げ収益の安定を図るJSR。ファイン事業を含めた持続的成長への次の戦略を小柴満信社長に聞いた。

―13年を振り返って。

 石油化学事業の市場はさらにダウンサイクルに入って2年目。今後、2年ぐらいはダウンサイクルが続くとみている。需要はそこそこであるが供給過多のなかでなかなか良くならない。上期の実績は営業利益は178億円と期初収益ガイダンスに対して想定線に近いレベルで着地した。液晶ディスプレイ「LCD」はそれなりに良かったが、面積ベースでいくとマイナス成長となっている。

―エラストマー事業では。

 EPDMの増産、タイのS―SBRも過去に決めた投資が今期、動き出した。CMBも日本のカーメーカー、部品メーカーの動きに合わせてタイで増強を進めたが、その延長線上にインドネシアでの生産を開始した。
 S―SBRではタイに続いてハンガリーでの新工場建設を決めた。足の長い石油化学系事業での海外展開は市場、経済合理性があり、地勢学的安定性が求められる。日本にしても、アジアにしても原油は中東から来るが、リスク回避から、ハンガリー拠点でははロシア産原油がソースとなる。

―合成ゴム原料の安定確保は。

JSR小柴満信社長

 ブタジエンは長期的にみると足りなくなるが、現在、市場で眠っているスリーピングブタジエンが全世界で100万トンあり、タイ、ハンガリーでもそのスリーピングブタジエンを使う。スリーピングブタジエンの経済合理性が成り立つならば海外展開につながる。日本での原料については、我々のブタジエンの抽出技術は今、世の中にある抽出技術では1番であり、環境負荷が低く、これをベースにブタジエン製造の抽出技術ライセンスを渡し、その代わりにブタジエンの引き取り権を得て、日本、タイでも使用することが出来る。

 

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