日本ホース金具工業会 年頭所感 立田力三会長

2014年01月09日

ゴムタイムス社

 平成26年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
 昨年は、長嶋茂雄氏と松井秀喜氏の国民栄誉賞受賞、三浦雄一郎氏の80歳でのエベレスト登頂の成功、富士山の世界文化遺産登録、2020年夏季五輪・パラリンピックの東京開催が決定などの明るい話題もありましたが、高知県四万十市で国内最高気温41℃を記録したり、竜巻による被害が北関東で続発したり、大型で強い台風による局地的な豪雨の発生等、地球温暖化による異常気象が多発した一年でした。景気の方は、アベノミクスに対する強い期待感から、円安・株高が進み、多くの輸出企業や大企業の業績の急回復が鮮明になっておりますが、当工業会や関連する業界の状況は、9月頃よりやっと回復傾向を見せはじめた所でございます。
 大手需要先である建設機械の平成25年度上半期(4~9月)本体出荷額は、9452億円で前年同期比で3%減りましたが、メインの油圧ショベルが7月以降回復しており、9月には25ヵ月振りに中国向け輸出が増加するなど回復基調にあります。自動車は4月まで改善傾向にあった中国及びアメリカ向け輸出がこのところ停滞しているほか、6月以降タイでは自動車初回購入支援策の終了、インドネシアでは燃料補助金削減の影響で減少しており、8月以降改善はしているものの1~10月度の輸出台数は前年同月比97%で10ヵ月連続のマイナスとなっています。生産台数は前年同月比94%で同じく10ヵ月連続のマイナス、国内販売も同97%で10ヵ月連続のマイナスという状況です。工作機械の1~10月の受注金額は前年同期比で87%という状況で22ヵ月連続マイナスを続けております。当工業会の1~10月出荷実績は、産業用ゴムホースが342億円(前年同期比95%)、自動車用ゴムホースは89億円(同82%)、樹脂ホース54億円(同96%)、付属金具34億円(同90%)、合計で519億円(同92%)となっており、9月以降2ヵ月連続でプラスとなっております。
 さて、今年度ですが、安部政権がアベノミクス効果で安心感・希望をもちつづけるような政策を実行出来れば、景気回復が長期的に続く可能性はありますが、心配は4月以降の消費税増税です。建設機械では排ガス規制の最終版「Tier4」が今年度よりスタートしますが、移行期間措置「Tier3」の駆け込み需要の反動減と消費税増税でどの位の影響があるか、非常に心配されます。景気刺激策として、耐用年数を過ぎた道路やトンネルの補修など、防災・減災に重点を置いた公共投資の拡大や需要の創出政策を数多く実行頂き、景気回復が進んで、好景気になるのを願うばかりです。
 昨年も、例年通りホース及び継手関係のJISやISOの審議に積極的に参画して参りました。ISO TC45関連では、日本が提案し規格化された「圧力ベースホース規格(ISO18752)」とJISとを整合化した新JIS K 6349が2012年8月に公示され、当工業会ではこれを受けまして、アセンブリ規格のJIS B 8360及び継手金具規格のJIS B 8363の改正原案作成委員会を9月に立ち上げて改正作業に取組んでいます。また、10月にインドネシア、バリで行われた国際会議には「液圧用ホース分科会」委員も参画致しました。ISO TC131関連では10月にフランス、パリで開催された国際会議に「液圧継手ホース分科会」から委員を派遣致しました。これらの活動は、日本のホースが持つ高い技術力を生かしてのグローバル化に大きく貢献できるものと期待しております。
 当工業会は、昭和39(1964)年1月17日に発足し、今年創立50周年を迎えることになりました。これも偏に関係官庁・業界諸団体・関係企業の皆様方のご指導、ご支援並びに会員皆様方のご協力の賜であると深く感謝する次第です。更なる飛躍にむけて、関係者一同、心を新たにして邁進して行きたいと念願しております。今後とも益々のご指導、ご鞭撻を頂きます様お願い申し上げます。

 

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