日本ベルト工業会 年頭所感 野澤信太理事長

2014年01月03日

ゴムタイムス社

 謹んで新春のお慶びを申しあげますとともに、旧年中に賜りましたご厚誼に対し心より御礼申しあげます。
 平成26年の年頭にあたり、一言ご挨拶申しあげます。
 わたくし共、ベルト業界を取巻く環境は、昨年前半より自動車産業向け伝動ベルト需要が低迷し厳しいものがありましたが、幸い、コンベヤベルトや樹脂ベルト需要が堅調で、全体では回復基調となってまいりました。
 平成25年度の生産量は平成24年度の横ばいから僅かながら増加に転じる見込みです。
 ゴムベルト全体では3万1200トン(前年比101%)で内需は1万9395トン(同101%)、輸出は1万1812トン(同102%)の見込みです。25年度は資源国向けの輸出需要と復興需要を含む公共事業に支えられ、3年連続して3万トンの大台に乗る見通しです。
 平成26年度のゴムベルト需要予測は、3万660トン(同98%)としました。その内訳は、内需が1万9693トン(同102%)、輸出が1万967トン(同93%)です。内需は引き続き微増の見込みですが、輸出は資源国需要が極めて先行きは不透明で、ゴムベルト全体で前年比微減と推測致しました。
 コンベヤベルトの平成25年度の生産量は2万1トン(同107%)の見込みです。コンベヤの生産量が2万トン台に達するのは、実に22年ぶりです。又、好調であったリーマンショック前の2008年と比較しても105%となりました。
 その内訳は、内需が9934トン(同109%)、輸出が1万67トン(同104%)です。内需は、石炭火力再稼動やインフラ建設関係等の復興需要を含む公共事業の増加に支えられ回復基調となってきました。輸出は旺盛な資源国需要に支えられ1万トンの大台に達する見込みです。
 平成26年度の需要予測は、1万9357トン(前年比97%)としました。
 その内訳は、内需が1万110トン(同102%)、輸出が9247トン(同92%)です。全体では、輸出の減少で5年ぶりに前年割れの見込みですが、内需は引き続き復興需要等の公共事業に支えられ前年微増と予測しました。輸出は、資源大手企業が相次いで事業売却や在庫調整等のリストラを始めた事により一時的に需要が落ち込むが、中長期では、鉄鋼等コアーな需要は、右肩上がりと見ている。然しながら、海外への生産シフトが促進される等、予断を許さない面もあります。
 伝動ベルトの平成25年度の生産量は1万1206トン(同94%)の見込みです。
 その内訳は、内需が9461トン(同95%)、輸出が1745トン(同89%)です。内需・輸出とも、前年実績を大幅に下回り、需要の半分を占める自動車関係が海外への生産シフトやHV車の増産などで構造的に減少し前年割れの状況。下期は、徐々に自動車生産が増えてきており、前年比97%近くまで回復してくる見込みです。
 但し、自動車向け需要の構成比は依然として50%割れの状態が続いています。自動車以外の一般産業分野の需要は、ほぼ前年並みの見込みです。
 平成26年度の需要予測は1万1303トン(同101%)としました。
 その内訳は、内需が9584トン(同101%)、輸出が1719トン(同99%)です。全体で、前年比+1%の微増だが、好調であったリーマンショック前年から比べると2割程下回っており、未だ回復の兆しが見えません。昨年上半期に比べ、自動車生産は増加してきているが、内需は、海外への生産シフトによる輸入増やHV車の増産等で減少してきており、前年並みと予測しました。
 樹脂ベルトの平成25年度生産量は106万4026㎡(前年比107%)の見込みです。
 その内訳は、内需が99万3414㎡(同106%)、輸出が7万612㎡(同121%)です。2年振りに、100万㎡の大台を確保できる見込みで、全体では各品種共、バランス良く伸張してきた。
 第2と第3四半期と、大都市圏の物流センターの新増設で、物流機械部門の需要が大きく伸びてきた。品種別には、低価格帯のPVCベルト需要が増加してきています。更に、輸出も、円安の影響か、大きく伸びてきました。
 平成26年度の需要予測は112万3383㎡(前年比106%)と前年に引き続き、100万㎡の大台を確保できる見込みです。
 その内訳は内需が105万3002㎡(同106%)、輸出が7万381㎡(同100%)です。食品・食品機械向け需要や物流機械向けなどもポリウレタンベルトを含み堅調な需要が続くと期待しています。品種別には、低価格帯のPVCベルトの伸びが期待されています。
 リーマンショック以降、ベルト業界は、ボーダレス化した内外の経済変動を直接・間接に係らず大きく影響を受けてきています。外的要因としては、原子力事故・震災、欧州経済危機、中国の政策変動などで、内的要因には、海外への生産シフトの加速や自動車のHV化、原材料価格の変動・高止まりやエネルギーコストの高騰等ですが、かつてないこれ等の危機を徐々にですが、克服してきており、全体では昨年から徐々に回復基調に転じてきています。然しながら、消費税のUPなど乗り越えなければならない新たな課題もあり予断を許さない状況です。
 この様な環境下、当ベルト工業会では、経済政策や、需要先動向等を的確に把握しタイムリーなデータサービスを行う一方、コンベヤISO規格国際幹事として日本の考え方をISOに反映させ日本規格の国際化を推進する等、尚一層のベルト業界発展のため貢献してまいります。
 内外ともにこの一年が良い年となり、皆様がますますご発展されますことを心から祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

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