日本ゴムホース工業会 年頭所感 入江荷一朗会長

2014年01月02日

ゴムタイムス社

 平成26年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
 さて平成25年の日本経済を全体的に展望しますと、第三四半期のGDPが実質成長率で前期比0・五%増、年率換算では一・九%増と、4四半期連続でプラス成長を維持しておりますが、年初から続いていた成長べースに若干ブレーキがかかっております。今後の動向につきましては、内需の柱である消費や設備投資など民間需要が主導する自律的な成長に移行していけるか否かが、大きな課題となっております。
 このような状況下で昨年のゴムホース生産は、主要な需要先である国内の自動車生産が9月に入り、13ヵ月ぶりに前年を上回り、回復傾向を示しましたが、その聞のマイナス影響は顕著でありました。又年後半までは、土木建設機械と工作機械の受注額も国内の需要減と資源国向け需要が大きく減少したため、甚大な影響を被りました。更に一般産業分野の設備投資も全般的に回復基調が鈍いこともあり、年間で3万5110トン(新ゴム量)、前年比3・9%減と当初予測どおりの結果となり、出荷金額も前年比3・1%減の1360億円になろうかと存じます。
 次ぎに、昨年の輸出入について述べさせて頂きますと、輸出は全体の50%であるアジア向けが、前年対比1・5%減と若干低調でありましたが、その他の地域向けは順調であったため、年間の総輸出額は前年比約6%増の460億円強を見込んでおります。
 輸入につきましては、全体の58%を占める自動車用ホースの輸入増により、年間通期の総輸入額は、前年比約12%増・140億円強の見通しでございます。
 さて、本年の世界経済の成長見通しは、回復の基調が未だ不明瞭であり、新興国景気の動向と欧州の景気減速を背景とした市況低迷による影響等、先行きへの警戒感が懸念材料となっております。このような客観情勢下における日本経済の緊急課題は、消費増税後の政府主導による景気対策として内需拡大に全力を挙げることであろうかと存じます。
 そして本年のゴム業界に於いては、実体経済を見据えながら需要動向へ機敏に対応する企業経営が重要であると考えます。
 こうした情勢を前提と致しまして、本年のゴムホースの生産予測量は、前年比約0・4%減となる3万4990トン、出荷金額も前年比0・5%減の1350億円になるものと予測致しております。
 品種別には、生産構成の約70%を占める自動車用ホースは、昨年後半に自動車減産要因が払拭されましたが、本年上期後半は消費税の影響、また下期は国内生産の海外シフト関連により頭打ち傾向を辿るものと予想されます。このような環境を考慮の上、年間で前年比1・1%減と予測致しております。
 また、構成比約10%の高圧用ホースに関しましては、土木建設機械及び工作機械は国内需要が回復基調にありますが、東南アジア等の資源国向け需要は期待薄のため、昨年から3・5%増の予測を立てております。
 その他用ホースは、一般汎用ホース(空気、酸素、アセチレン、送水・吸上用)、マリンホース(大口径耐油)、LPGホース、耐油ホース(耐圧70㎏未満)、耐摩ホース、スチームホース、灯油ホース、その他ケミカルホースにつきましても一般産業分野の需要が前年後半並みのレベルで推移すると見ておりますので、年間で前年並みの予測と致しました。
 以上の如く、本年のゴムホース生産は、昨年比で見ますと下期伸び悩み型で推移するものと見通しております。
 次に本年の輸出について申し上げますと、中国を中心としたアジア向けの現状維持を想定しておりますので、前年並みの約460億円と予測致しております。尚、輸入につきましては、国内の自動車用ホースの輸入動向を考慮し、前年比2%増の約150億円弱程度と予測致しました。
 このような予断を許さない厳しい業界動向の中で、私ども工業会は、国際化の進展に伴い、平成12年にISO機関のホース部門で正式メンバー(Pメンバー)となり、日本の事情や考え方をISOに反映させるよう、積極的な働きかけを実施してまいりました。本年も、南アフリカ・ケlプタウンで開催予定の第62回国際会議に参画し、Pメンバーとしての更なる活動を推進して参る所存であります。
 何かと解決の難しい問題が山積している状況下ではございますが、当工業会といたしましては、今後共世界をリードする重要な機能部品を供給する社会的責任を果たすとともに、環境問題対応を優先課題とした製品作りに鋭意湛進して参る所存でございます。
 年頭にあたり、関係各方面の皆々様方のご理解とご支援を衷心よりお願い申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。

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