【ベルト特集】三ツ星ベルト 上期搬送用が2桁の増益に

2013年12月01日

ゴムタイムス社

 三ツ星ベルトは伝動ベルト、搬送ベルトなどを主力とするゴムとプラスチックの総合メーカー。2014年3月期第2四半期連結決算において、売上高312億8800万円(前年同期比13・2%増)、営業利益30億9800万円(同10・3%増)、経常利益34億9400万円(同37・3%増)、四半期純利益23億8900万円(同53・1%増)と業績好調だ。
 同社は近年、アジア圏を中心とした海外展開を推進しているが、国内の搬送ベルト部門でも対前年比2桁増の収益を上げている。その牽引役となったのが、食品搬送用樹脂ベルト「ママライン」シリーズの低収縮ベルトだ。搬送機器にとってベルトの伸縮は機械を傷める大きな要因の一つ。搬送ベルトの伸長は気づきやすいが収縮の進行は視認性が低く、発覚時には機械本体に損傷を与えていたケースもある。収縮の主な原因は、食品加工の過程で塩分や脂肪分などが帆布にすり込みを起こし繊維に残留すること。収縮率低減はユーザーとメーカーに共通する十数年来の課題だった。
 同社が開発した低収縮ベルトは、密度の高い特殊な帆布を採用してすり込みの起こりにくい構造を実現。同社産業資材営業第3事業部長佐々木孝氏によれば、同製品は「当初想定していなかった分野(同氏)」でも活躍することになった。一例が、製パン工場で焼き上がったパンをコンベアへ移す「すくい取りデパンナ」だ。同装置は高温、油分、微細粉末など搬送ベルトには厳しい条件が重なり、従来品では2週間程度でベルト交換の必要があった。低収縮ベルトはその過酷な環境に耐えて交換寿命を2倍以上に拡大。現場から高い評価を得た結果、同社食品搬送分野の中で製パン・製菓工場での需要が半分近いシェアを占めるに至った。
 佐々木氏は「メーカーである以上、ものづくりにこだわりたい。時間やコストをかけても高い技術を評価してくれる顧客はいる」と語る。樹脂ベルトは長い歴史がある成熟した分野。同社は顧客からの厳しい要望に対し、性能向上は限界と思われた中で「あきらめずにもうちょっと、もうひとひねりと粘りながら開発を続ける(同氏)」姿勢で取り組んできた。結果、高い技術力が認識されて期待値が上がり、顧客から様々な要望が出る。それに応えるとまた次の要望が出て――という好循環の中で同社の収益は伸びていった。

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