クラレ 14年3月期中間決算は増収増益

2013年11月04日

ゴムタイムス社

 クラレの伊藤文大社長は10月29日、東京・大手町の東京本社で記者会見を行い、14年3月期中間連結決算を発表した。
 売上高は1992億6900万円で前年同期比10・2%増、営業利益は246億5700万円で同3・2%増、経常利益は248億9500万円で同13・8%の増収増益となった。中間期純利益は157億6500万円で同23・7%増。営業利益については、過去最高水準となっている。
 コア事業である光学用ポバールフィルムが不振だったものの、水溶性ポバールフィルム、ガスバリア性樹脂「エバール」、耐熱性ポリアミド樹脂「ジェネスタ」などが好調で、為替相場もプラスに作用した。
 セグメント別では、ビニールアセテートは、水溶性ポバールフィルムが旺盛な需要を背景に順調に拡大したが、光学用ポバールフィルムは液晶テレビの需要が伸び悩み、販売量は微増。
 ポバール樹脂は欧米での伸長があるものの、アジアでは競合激化の影響を受け、PVBフィルムは欧州の景気低迷の影響を強く受けた。光ガスバリア性樹脂「エバール」は米国・アジアを中心に順調に拡大した。
 この結果、同セグメントの売上高は900億5100万円で同19・9%増、営業利益は245億2700万円で同0・5%増となった。
 なお水溶性ポバールフィルムは洗剤用途の旺盛な需要拡大に対応するため、米国で増設工事を進めており、エバールについても北米拠点で能力を増強し、さらなる増強を検討している。
 イソプレンについては、液状ゴムの需要は低調に推移したが、ファインケミカルと熱可塑性エラストマー「セプトン」の需要が回復。耐熱性ポリアミド樹脂「ジェネスタ」は、LED反射板・コネクタ用途、自動車用途ともに好調だった。
 同セグメントの売上高は253億8800万円で同13・2%増、営業利益は20億6800万円で同99・0%増。
 機能材料では、メタクリル樹脂が市況低迷と原燃料価格上昇の影響を受けたものの、メディカルは歯科材料の販売が堅調に推移。人工皮革「クラリーノ」は新プロセス品の拡販が遅れ、全体として低調に推移した。
 これにより、同セグメントの売上高は231億2600万円で同5・8%増、営業利益は4億7100万円で同43・1%減となった。
 繊維については、ビニロンがブレーキホース用途、アスベスト代替のFRC(繊維補強セメント)用途ともに堅調に推移。同セグメントの売上高は212億7500万円で同5・4%減となったものの、営業利益は13億2800万円で同37・2%増となった。
 トレーディングは、一部の事業が景気低迷の影響を受け伸び悩んだが、ポリエステルをはじめとする繊維関連事業が堅調に推移。この結果、同セグメントの売上高は530億900万円で同2・3%減、営業利益は17億1900万円で同6・2%増だった。
 その他では、活性炭事業が浄水・エネルギー関連用途を主体に堅調に推移したが、活性炭以外の事業については、総じて景気低迷の影響を受けた。同セグメントの売上高は305億1300万円で同3・6%減、営業利益は13億9100万円で同36・0%減にとどまっている。
 通期の業績予想について、伊藤社長は「米国経済は好調が見込まれる一方、国内の経済状況は回復が遅れ、欧州・中国は停滞が継続、新興国経済の成長ベースも鈍化した状況が続き、総じて厳しい経営環境が継続する」との認識を提示。
 8月1日に発表した前回予想を下方修正し、売上高4200億円で同13・7%増、営業利益550億円で同11・8%増、経常利益535億円で同10・1%増、当期純利益320億円で同11・1%増を見込んでいる。

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