タイヤ産業世界CEO会議を京都で開催

2013年10月17日

ゴムタイムス社

 日本自動車タイヤ協会は16日、欧州、日本、韓国、米国を代表するタイヤメーカーのCEOが一堂に会するタイヤ産業世界CEO会議を、11日に京都で開催したと発表した。
 参加企業はブリヂストン、コンチネンタルAG、クーパー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー、・ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー、ハンコックタイヤ、クムホタイヤ、ミシュラングループ、ピレリ、住友ゴム工業、東洋ゴム工業、横浜ゴム(アルファベット順)。
 日本からはブリヂストン津谷CEO、住友ゴム池田社長、横浜ゴム野地社長、東洋ゴム信木社長が出席した。
 今回の会議では、タイヤが環境と健康へ与える影響に関して調査を行っている長期プロジェクトの進展内容を確認し、プロジェクトを継続することを承認した。
 このプロジェクトは2005年に始動し、スイス・ジュネーブに本部を置くWorld Business Council for Sustainable Development(WBCSD=「持続可能な発展のための世界経済人会議」)の下で行われている。
 WBCSDは、世界のビジネス界とともに、重要な環境や社会問題についての取り組みや提言を行っている国際的な非営利団体。
 2011年に開催された前回の世界CEO会議から2年間にわたり、プロジェクトでは車両走行時に発生するタイヤ摩耗粉および道路上の粉塵が環境・健康へ与える影響と、タイヤの材料として使用されるナノマテリアルが健康へ与える影響を調査。また廃タイヤの効果的な管理システムの展開活動など、タイヤに関する環境課題への取り組みを行ってきた。

 タイヤ摩耗粉および道路上の粉塵(tire and road wear particles=TRWP)については、2006年から2011年に行われたTRWPの生態系への影響調査に引き続き、TRWPに含まれる化学物質の環境への影響を調査。その結果、これらは環境や健康に対するリスクが低いことが判明した。なお、調査結果は科学会議や学術専門誌で発表する予定。

 ナノマテリアルについては、タイヤ製造工程におけるカーボンブラックおよび非晶質シリカの濃度を測定した結果、作業者への影響は極めて低いことがわかった。
 また、ナノマテリアルの適切な取扱い方法に関するベストプラクティスをまとめたガイドを、フランス・パリに本部を置く経済協力開発機構(OECD)と協働して作成し、来年早々に発行する予定。
 OECDは、将来動向の予測や国際標準の制定を行っている国際機関。

 廃タイヤ管理については、これまでに廃タイヤ管理の現状を紹介するレポートや、廃タイヤ管理システムの構築を目指した廃タイヤ管理マニュアルを発行してきた。
 CEOの承認を得て2010 年に発行された廃タイヤ管理マニュアルは、管理方法がすでに構築されている国や地域の経験をもとに作成され、プロジェクトに参加しているタイヤメーカー各社やタイヤ業界団体を通じて配布されている。
 またプロジェクトでは、効果的な廃タイヤ管理システムを他地域に展開する活動も行っている。
 このプロジェクトでは、タイヤ産業に関わる課題に早期から取組み、タイヤが環境や健康へ与える影響をより深く理解し、タイヤ産業を持続可能な産業にするための方向性を策定している。

 CEO会議のメンバーが参加し、現在、ブリヂストン、グッドイヤー、ミシュランが、グループの共同リーダーを務めている。本会議には、欧州、日本、韓国、米国のタイヤの業界団体の代表者も出席した。
 なお、このプロジェクトの進捗内容については、WBCSD によって選ばれた、アシュアランス・グループという第三者の有識者からなるグループにより、客観的な視点で定期的に審議を受けている。
 アシュアランス・グループには、ハーバード大学公衆衛生大学院のジョン・スペングラー博士(米国)、東京大学政策ビジョン研究センターの谷口武俊博士(日本)、世界資源研究所のライライ・リ博士(中国)、国立産業環境・リスク研究所慢性リスク部のエメリック・フレジャフォン博士(フランス)、ヨハネス・グーテンベルク大学マインツ医療バイオメトリックス・疫学・情報科学研究所のマリア・ブレットナー博士(ドイツ)が参加している。

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