【ゴムシート特集】 入間川ゴム 細井達男社長に聞く  通期は増収増益を予想

2013年10月21日

ゴムタイムス社

入間川ゴム 細井達男社長に聞く 通期は増収増益を予想

 入間川ゴムは故清水秀樹社長が推進してきた中期5ヵ年経営経営計画「清水プロジェクト」の仕上げの年。「技術力を活かした新製品開発に注力する」をキーワードとする細井達男社長に今後の事業戦略を聞いた。

足元の需給動向は?

 細井社長 当社の製品は汎用性の高いゴムシートが中心であり、機械、家電製品、社会的インフラ分野と使用していただくユーザーもありとあらゆる分野にわたっている。その意味では景気に連動しているが、自動車関連向け製品はじめ、欧米向けの鉄道車両用ゴム製品、中国向けの特殊ゴム製品の需要がダウンしたこともあり、前年同期対比では売上高は若干落ち込んだ。この分野が復活してくると通常ベースに戻るのではないかとみている。

素材面での動きは?

 細井社長 業界全体では天然ゴム製、合成ゴム製シートともに前年に比べ10%ぐらい落ち込んでいるが、当社は並天然ゴムシートは業界並に落ちているが、合成ゴムは昨年並であった。合成ゴムではNBR、CR、フッ素ゴムの需要が落ち込んでいるが、逆に自動車部品向けに上向きつつあるEPDM、シリコーンゴムの需要が伸びている。フッ素ゴムは半導体関連のラインに使用されており、半導体業界の低迷で需要がダウンした。

新製品開発プロジェクトの成果は?

 細井社長 若手の営業マンと技術陣でチームを作っているが、案件としては20~30件あるものの実現化してきているのは2件か3件であり、徐々に試作品の準備段階に入っており、技術力を生かした製品開発を粘り強く進めていきたい。

下期以降の需要見通し。

 細井社長 中国向けの特殊ゴムや産業用ゴムが中国の景気回復に加え、円安効果により受注が戻りつつあり、下期は期待できそうだ。特殊ゴムの競合相手が欧州のゴムメーカーであるが、ここへきてのユーロ高で競争力がつき引き合いが活発化してきた。国内需要については、消費税増税の駆け込み需要や震災復興関連で各種ゴム製品の需要が徐々に出てきている。ビルの窓枠に採用されるEPDMのゴムシートは、一般ビル建設の着工拡大に伴い徐々に増えており、今後も期待される商品の一つ。震災復興でもインフラ整備が進み、高台での住宅着工が進めば新たな需要拡大につながり、上期落ち込んだ分をカバーし、プラスαで前年以上の売上高を確保したい。2020年の東京オリンピックでは、今すぐにではないが、首都高速の補修整備、各種競技場の補修,新設が始まると、土木建設機器用ゴム製品の需要が出てくると思っている。

今後の事業戦略は?

 細井社長 清水前社長が計画を進めていた5ヵ年計画の「清水プロジェクト」はリーマンショック後に売上高が最大で3割落ち込んだが、その時点でV字回復を図るため利益体質強化を狙いに不採算事業・製品の縮小や関係会社統合によるスリム化などを行い、筋肉質的な事業体質の構築を進めてきた。利益体質の強化についてはほぼ効果を出すことが出来たと思っている。これまでは人員削減など縮小均衡できたが、これから目指すのは新しい分野での足がかりを得て、拡大戦略も打ち出すことになるが、これは一朝一夕で見出せない。今年は「清水プロジェクト」の仕上げの年で今年度いっぱいは総仕上げに注力していきたい。当社の強みである技術力を磨き新製品開発に注力するとともに、当社の既存商品では製品の特長を活かした用途開発を進め、成長に向けた次期中計を現在、策定中である。業績でも誇れるようになればと思っているが、リーマンショック以前に比べると売上高は10%ぐらい落ちている。収益面では損益分岐点を下げており、 何とか黒字を確保しており、財務体質は強化された。

 販売は1割ダウンとなり、人員も25%削減されたが、生産体制は効率化が図られており、生産量に応じて適正人員配置ができ、受注が増えても人を増やさない生産対応が可能となった。

細井達男氏の略歴

 1948年8月11日生まれ、65歳。早稲田大学政経学部卒後、73年4月旧埼玉銀行に入行、99年5月に入間川ゴムに入社。同年取締役総務部長、02年1月常務取締役管理本部長、08年6月専務取締役管理本部長、13年3月に代表取締役社長に就任。入社以来、経理、財務部畑を歩きISO導入に尽力。座右の銘は「クールヘッド、ウォームハート」。趣味はゴルフと山歩き。

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