クラレ 高分子学会賞を受賞

2013年08月27日

ゴムタイムス社

 クラレは23日、「耐熱性ポリアミド9T<ジェネスタ>の開発と工業化」により、高分子学会から「平成24年度高分子学会賞(技術部門)」を受賞したと発表した。
 高分子学会賞は、同学会が我が国の高分子科学および技術の進歩をはかるため、独創的かつ優れた業績を挙げた会員を対象に、「技術」と「科学」の2部門でその功労を顕彰するもの。
 独自技術により開発された素材により、電気・電子機器、LED光源、自動車分野における先端製品の普及に貢献したことに加え、2000年以降、年産1万トン規模に育った新規ポリマーは同品しかなく、新しいポリマー素材が生まれにくい閉塞感を打破し、日本のポリマー産業が世界に先駆けて新しいポリマーを生み出す強力な動機付けとなることなどが評価された。
 欧州のRoHS指令により、従来の鉛はんだが融点の高い鉛フリーはんだへ急速に切り替わるのに伴い、リフロー温度も上昇。耐熱性ポリアミド9T、同社製品名<ジェネスタ>は鉛フリーはんだにも耐える耐熱性を有し、SMT(表面実装技術)対応の高耐熱材料として、携帯電話やモバイルパソコンなど小型電気・電子機器の普及に貢献した。
 また、LEDバックライトがノートパソコンや液晶テレビなど、より大型のディスプレイへ適用範囲を拡大する中で、LED素子から発せられる熱や光の反射板への負荷が増大。同品はその優れた耐熱性と耐光性を武器に反射板用途で確固たる地位を獲得し、省電力化につながるLED光源の普及に貢献した。
 新たに自動車分野において、同品の優れた燃料バリア性や良好な耐摩擦・磨耗性は評価され、燃料配管などの燃料関連部品、ギアやローラーなど摺動部品などで採用が拡大し、軽量化・燃費向上にも貢献している。
 同品は、同社が世界で初めて工業化したノナンジアミン(炭素数9のジアミン:<ジェネスタ>の主要原料モノマー)を使用した新しい耐熱性ポリアミド樹脂(PA9T)で、1999年に同社が工業化した。耐熱性、耐光性、耐薬品性、摺動性(摩擦に強い特性)、低吸水性に加え、寸法精度に優れるなどの特長を有する。
 同社の高分子学会賞(技術部門)受賞歴は、「人工皮革<クラリーノ>の研究と工業化」、「ガスバリヤー性樹脂<エバール>の開発と工業化」、「歯科用接着性高分子充填材料の研究と工業化」など。

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