昭和電線 弾性すべり支承を共同開発

2013年07月31日

ゴムタイムス社

 昭和電線デバイステクノロジーは7月29日、戸田建設㈱、西松建設㈱、カヤバシステムマシナリー㈱との共同研究により、微振動や風・小地震による小振幅にも対応する新しい免震装置として、「オイルダンパー付き弾性すべり支承」を開発し、6月10日に国土交通省の大臣認定(認定番号 MVBR-0419)を取得したと発表した。
 同装置は、弾性すべり支承を用いた免震構法を、微振動を嫌う生産施設や居住性能向上を要求する住宅・病院など様々な用途の建物に適用を可能とする新たな免震装置。

 近年、生産施設では、BCPに基づく地震リスク低減対策として免震構造の提案が増えている。免震構造を電子デバイスなどの生産施設に適用する場合には、耐震構造と比較して、大地震時の揺れ低減以外に、常時の微振動対策が重要となる。生産する製品の微細化、複雑化、高密度化、処理の高速化が進み、振動許容レベルが厳しくなるとともに、製造装置の大型化により振動源が大きくなり、多角的な振動対策技術が必要となっている。
 そのため免震構造で微振動対策が必要な場合、これまでは大地震に効果を発揮する免震装置とは別に、微振動を抑制する装置を付加して対応するため、付加するスペースの確保が必要になることや、設置コストが掛かるという課題があった。その課題を解決するため4社は、弾性すべり支承に微振動を抑制するオイルダンパーを組込む装置を開発した。

 同装置は、振幅の小さい範囲では積層ゴムのみが変形して揺れを吸収し、振幅の大きい範囲ではすべり支承全体が摺動して摩擦抵抗により揺れを吸収する弾性すべり支承の特徴を活かしつつ、積層ゴムの変形部にストロークが短く剛性の高い制振用オイルダンパーを組込んだ機構。
 オイルダンパーを弾性すべり支承の積層ゴム変形部に組込むことで、ダンパーストロークは積層ゴムの変形分(約 6cm)で十分となるため、コンパクトな装置で十分な効果を発揮する。また、弾性すべり支承が滑り出した後は、オイルダンパーは支承と一体となって摺動するため、本来の大地震に対する耐震性能に影響を与えない。
 大地震用の免震装置と微振動対策用の装置を一体化することで、装置の基礎躯体などの低減や免震層の有効スペース確保も可能となり、装置・躯体のローコスト化も実現した。
 また、風揺れや小地震などの小振幅領域、長周期地震による後揺れの低減などにも効果があることを確認済で、微振動対策が必要な生産施設のみならず、居住性能向上を要求される住宅や病院など様々な用途の建物に効果を発揮する。

 この装置は、4社の共同研究開発により、詳細な実験等を行い実用化した。微振動領域でのオイルダンパーの性能については、既往の研究例が少ないため、単体試験に加えて、実建物を用いた試験などを行い、十分な効果を確認しているとのこと。
 今後は、微振動領域や小振幅領域から大地震まで高い免震性能を発揮して多様なニーズに応える、「オイルダンパー付き弾性すべり支承」を、様々な用途の建物に幅広く展開していく計画としている。

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