BASF PA610ラインを拡張

2013年07月18日

ゴムタイムス社

 BASFは16日、PA610の製品ラインを拡張することを決定したと発表した。
 同社は、2013年10月のK 2013において、2つの柔軟なUltramid S Balance新規グレード、Ultramid S4Z5 BalanceとUltramid S4Z4 XS Balanceを発表する予定。パイプやチューブの押出成形に適したこのグレードは、特に自動車や機械装置産業のほか、石油やガスラインでの使用を想定している。同社は、押出成形の分野でも、専門サプライヤーとしての地位を強化する。 2つの新製品は、サンプル品として、2013年11月から提供を開始する予定。
 Ultramid S4Z5 Balanceは、厳しい温度要件を満たす必要がある液体搬送ライン向けの半軟質グレード。一方、Ultramid S4Z4 XS Balanceは、真空ラインや脱気ライン向けの非常に柔軟性に優れた製品で、応力亀裂に対し、これまで以上の耐性を有している。
 この新たな2つの製品のフォーミュレーションには、改良を重ねた高粘度ポリアミド6・10を使用し、優れた低温衝撃強度を実現している。柔軟性に富んだ Ultramid S4Z4 XS Balanceを使用することにより、チューブに柔軟性が付与されることで、設置が容易になる。この2つの製品は、剛性および強靭性が異なる。耐圧強度と継手保持力は、S4Z5グレードの方が少し高く、耐熱老化性の面でもS4Z4 XSよりもいくらか優れた性能を示す。一方、同グレードの特長は、塩化亜鉛耐性に優れていること。
 Ultramid S Balance射出成形グレードが市場に導入されて以来、さまざまなアプリケーションにおいてその有用性が実証されてきた。応力亀裂の原因となる燃料および塩に対する特有の耐性により、本材は燃料ライン上のクイックコネクターなどに利用することができる。この応力亀裂に対する耐性は、その低吸水性とともにセンサーにおける本材のアプリケーションにおいても基本となるもので、これまで以上に高い性能を発揮する。一部再生可能資源を使用したPA610は、その特徴的な外観と感触により、Wästberg Winkel w127デスクランプといったデザインを重視する製品に最適な材料。
 PA610はその化学組成から、長鎖ポリアミドの1つと考えられている。この分類には、PA612、PA12、PA11などが含まれ、最近では PA1010、PA1012、PA1212が加わっている。これらはPA6、PA66またはPA46と比べ、非常に低吸水性であることが特長であるほか、薬品および応力亀裂に対する耐性にも優れている。このポリマーの市場は、射出成形と押出成形のアプリケーションに分けられ、その比率はおよそ1対4だ。PA12はその特殊な性質により、押出成形市場をほぼ独占しているが、より厳しい熱安定性や燃料透過要件を満たすため、その他のポリマーを必要とするアプリケーションもある。この場合、PA610とPA12の特性が、互いにうまく補完し合う。
 複雑なさまざまな要件を満たすため、個々の要件に合うようカスタマイズされたソリューションが求められている。新しい2つの同グレードにより、同社は配管ラインおよび液体搬送ライン向けのカスタムフォーミュレーションの押出成形製品分野において、開発を進めていく考え。顧客と共同で開発した製品は、今後、市場に提供していく予定。

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