ランクセス 産業展K2013に出展

2013年07月11日

ゴムタイムス社

 独ランクセスは10日、デュッセルドルフで10月16日から23日にかけて開催される国際プラスチック・ゴム産業展「K2013」に出展し、「グリーンモビリティ」向けの革新的ソリューションを中心に紹介すると発表した。
 同社の経営委員会メンバーのヴェルナ・ブロイヤス氏は、1日にデュッセルドルフで開催された各国メディア向けの記者会見で、同展示会について「現在、世界中の道路で約10億台以上の車が走行しており、2050年までにこの数字は25億台に増加する見込みだ。そのため、持続可能なモビリティは、世界のメガトレンドとなっている。同社は多数の製品および技術で、『グリーンモビリティ』分野のパイオニア的存在となっている」と述べた。同社は同展示会において、低転がり抵抗を備えたエコタイヤ向けの高性能ゴムおよびゴム薬品、軽量化構造向けの高性能熱可塑性樹脂、持続可能な原料を使用したゴムなどに注力するとしている。
 2012年度の同社の「グリーンモビリティ」関連製品の売上高は、グループの総売上高の約20%を占めている。ブロイヤス氏は「同社は革新的な企業文化を活かして、顧客のニーズに計画的に焦点を絞る。革新的なソリューション開発のために顧客と密に連携をとりながら作業をすすめることで、迅速にコスト効率よく市場投入が可能となる」としている。
 昨年同社は、研究開発のために1億9千200万ユーロ(売上高の約2・1%、対前年比約33%増)を投資した。「同社は、特に、中国、インド、ロシア、ブラジル市場でのプレゼンスを強化している。これらの成長市場において同社の革新的な企業文化を活用し、貢献することを目指している」と、ブロイヤス氏は述べている。たとえば、この6月にシンガポールにおいて、年間製造能力10万トンを備えたブチルゴム製造プラントを開設した。
 同社は、先進的な製造技術、成長する市場への投資、ポートフォリオの最適化をもとに、特殊合成ゴムポリマーであるエチレン・プロピレンゴム(EPDM)の「ケルタン(Keltan)」を供給することで、世界市場でのシェア拡大を目指す。革新的なACE技術がこれを実現する鍵となる。ACE技術を用いたEPDMの製造プロセスは、塩素を使用することなく効率が高い工程で、また従来の技術では非常に困難であった細部にわたるポリマー構造のコントロールが可能だ。ケルタンエラストマーズビジネスユニットの責任者であるトールステン・デア氏は、「EPDMポートフォリオのうち7グレードはACE技術により製造され、その優れた性能を発揮する。また同技術により、新グレードも投入する予定だ」と述べている。同ビジネスユニットは、中国・常州に世界最大のEPDM工場を建設するなど様々な投資を行っている。この中国工場は年間製造能力16万トンを備え、2015年に稼働を開始予定だ。
 世界有数の工業用ゴムのサプライヤーであるハイパフォーマンスエラストマーズビジネスユニットは、高度な問題を解決する革新的な技術の開発に取り組んでいる。
 ニトリルゴム(NBR)市場においては、4つの柱から成る戦略を立てている。たとえば、コストパフォーマンスの高いNBRグレードの開発や、各顧客の要求に合うようカスタマイズされたグレードの開発、また、新しいタイプのパウダーNBRグレードにも注力している。
 クロロプレンゴムにおいては、製造プロセスの革新的な向上により開発された新しいグレードによって、用途の幅を拡大する。ハイパフォーマンスエラストマーズビジネスユニットの責任者であるジャンポール・ドゥフリースは、「この製造プロセスの変更により、2つの新しいバイプレンのグレードの開発に繋がった。これらは、バイプレンHP、GFという名前で販売され、バイプレンHPに関しては、今後もより多くのグレード開発を予定している」と述べている。
 開発中のエチレン―酢酸ビニル共重合体(EVM)「レバプレン(Levapren)」は、たとえばポリ乳酸樹脂の耐衝撃性改質などの用途に有望だ。同ビジネスユニットの投資の中心はアジアだ。実際、2012年5月に、パートナー企業との合弁によるニトリルゴムの製造プラント(年間製造能力3万トン、中国/南通)での生産を開始した。
 ハイパフォーマンスマテリアルズ(HPM)ビジネスユニットは、「K2013」において、高性能のポリアミド「デュレタン(Durethan)」およびポリエステル「ポカン(Pocan)」を使用した軽量化自動車構造で独自の世界的優位性を強調する。
 同社が最近買収したボンドラミネーツ社は、連続繊維で強化した熱可塑性樹脂コンポジットシート「テペックス(TEPEX)」ブランドの卓越したメーカーであり、サプライヤーである。この買収により、同社の優位性がさらに強化された。HPMビジネスユニットの責任者であるマイケル・ゾベル氏は「同社は、大量生産の実績ある高性能コンポジットシートと樹脂コンパウンドを提供できる世界でも数少ない熱可塑性樹脂メーカー。これらのコンポジットシートと樹脂コンパウンドを使用した軽量化部品の大量生産用の製品用途ノウハウも提供することができる」と述べた。
 同社は、軽量化構造における独自の優位性を最大限に活かし、成長市場でさらに事業拡大を進め、また、新しい製造施設により自社事業の一層のグローバル化を推進する。ゾベルは、HPMビジネスユニットの軽量化構造の代表的な事例として、ポリアミド6だけを使用したフロントエンドキャリア、連続生産に適した連続ガラス繊維で強化したポリアミドで製造されたブレーキペダルを紹介している。

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