東レ 童夢カーボンマジックを買収

2013年03月21日

ゴムタイムス社

 東レは18日、自動車用途をはじめとする炭素繊維複合材料事業の拡大を図るため、4月に童夢カーボンマジック(以下「DCM」)の全株式を取得し、100%子会社化することに合意したと発表した。
 同買収はレーシングカーの設計・製作を通じて自動車業界から高い評価を得ている童夢グループから取得、新社名は「東レ・カーボンマジック」を予定している。併せて、童夢グループのタイ生産子会社である童夢コンポジット・タイランドの株式の75%を取得し、子会社化する。新社名は「カーボンマジック(タイランド)」を予定。
 DCMは、童夢のレーシングカー用CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)部品の生産会社として1995年に設立された。レーシング カー部品の設計・製作を通じて培った同社の設計技術力、試作提案力および高精度オートクレーブ生産技術は市場から高く評価されており、現在では自動車用途に留まらず、幅広い分野でCFRP部品を数多く生みだしている。
 タイの生産拠点であるDCTは、CFRP部品の量産工場として、2005年にタイの大手消費財関連コングロマリットであるSahaグループとの合弁で設立された。以来、オートクレーブ技術を核に、高品質の製品を競争力あるコストで量産し、着実に業容を拡大している。
 東レは現在、名古屋事業場にある自動車・航空機分野向け総合技術開発拠点「A&Aセンター(Automotive & Aircraft Center)」の中核施設である「アドバンスドコンポジットセンター」と「オート モーティブセンター」を中心に炭素繊維複合材料製品の設計・製造技術および製品開発を行っている。また、欧州では2008年にRTM(Resin Transfer Molding)成形でCFRP部品を開発・生産しているACE Advanced Composite Engineering GmbH(略称「ACE」)に資本参加するとともに、2011年にはダイムラーAGとCFRP製自動車部品を製造販売する合弁会社Euro Advanced Carbon Fiber Composites GmbH(略称「EACC」)を設立して、自動車用途における炭素繊維複合材料サプライチェーンを強化・拡充してきた。今回のDCM買収により、CFRP部品の設計技術力が飛躍的に拡充され、同社の保有する各種CFRP成形技術との相乗効果により、顧客の要望に迅速に対応できる体制が強化される。更に、アセアン地域の自動車産業の中心であり、政府が航空機関連産業の誘致を計画するタイに同地域で同社にとって初となる炭素繊維複合材料関連の生産拠点を確保することで、同地域の経済成長を取り込むと同時に、顧客に競争力のあるグローバルサプライチェーンを提案できる体制が整うとしている。
 東レグループは今後も、グローバルに垂直統合型ビジネスモデルを展開して顧客にソリューションを提案・提供し、炭素繊維複合材料事業の更なる拡大を目指す方針。
 〈童夢カーボンマジックの概要〉
▽事業内容=炭素繊維複合材料製部品および付属品の設計・製造
▽設立=1995年3月
▽所在地=滋賀県米原市
▽資本金=3000万円
▽代表者=奥明栄
▽従業員数65名
 〈童夢コンポジット・タイランドの概要〉
▽事業内容=炭素繊維複合材料製部品および付属品の製造
▽設立=2005年9月
▽所在地=タイ王国チョンブリ県シラチャ
▽資本金=9000万THB
▽代表者=矢谷悟志
▽従業員数=70名

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