東洋ゴム工業 年頭所感 中倉健二社長

2013年01月16日

ゴムタイムス社

 新年明けましておめでとうございます。
 6重苦にあえぐ国内製造業は、前の年の震災に引き続き、昨年は日中関係悪化によって事業計画が狂う事態に直面しました。当社も海外2番目の自前工場となる念願の中国工場が本格稼動し始めた矢先に、その影響を受けることとなりました。世界市場を凌駕してきた日本のエレクトロニクス業界は韓国・中国・台湾勢に駆逐され、揃って苦境に立たされるなど、これまでの日本神話が揺らぎ始めました。
 なかなか思うに任せない政治、経済の倦怠感がただよう日本社会ですが、昨年の暮れに京都大学の山中伸弥教授がノーベル生理学・医学賞を受賞されました。この快挙を称えたニュースは爽やかな一陣の風となって届き、我々モノづくりを生業とする日本の製造業にとっても誇らしく、励まされた大変印象的な出来事でした。
 山中教授は、米国留学時代に上司から言われた「VW」という言葉を自身が勇気づけられた逸話として披露されています。「VW」とは「Vision and Work hard」、明確な目標とそれに対する懸命な努力です。長期的な目標を成し遂げるには多くの短期的な目標を達成しなければならない。一日でできることではなく、複数の段階を踏む必要がある。だから、明確な目標を持たなければならないと教わったそうです。
 最高峰をめざす。我々は国内のタイヤラベリング制度において、「転がり抵抗性能AAA、ウェットグリップ性能a」という未踏峰の最高グレードへ挑みました。そして昨年7月、業界に先駆けてその冠を獲得した低燃費タイヤの国内市場投入を果たした、それが「NANOENERGY
0」です。明確な目標、そして数々の試行錯誤や失敗、チームによる議論と智恵に光を当てる作業、最後は根気と情熱。実はこうしたものが新しい境地を拓いた源泉だったと思います。

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