日本ベルト工業会 年頭所感 髙島誠士理事長

2013年01月16日

ゴムタイムス社

 謹んで新春のお慶びを申しあげますとともに、旧年中に賜りましたご厚誼に対し心より御礼申しあげます。
 平成25年の年頭にあたり、一言ご挨拶申しあげます。
 わたくし共、ベルト業界を取巻く環境は昨年後半より益々厳しく、尚且つ不透明になってきました。昨年に期待された復興需要は、ガレキ処理が一段落ついた後は、次のインフラ関係の需要が規制等で思ったように振るわず、建設機械、工作機械、鉄鋼・セメント等各業態の内需喚起には結び付きませんでした。自動車向けもエコカー補助金の終了で停滞気味となり、又、欧州金融危機に影響された設備投資の減少により各種製造装置向け需要が低迷しております。
 このような環境下で、平成24年度の生産見込みですが、ゴムベルトの生産量見込みは3万516㌧(前年比99%)となりました。内需は1万8972トン(同88%)、輸出は1万1544トン(同124%)の見込みです。24年度は、旺盛な資源国向けの輸出需要に支えられ、2年連続して3万トンの大台に乗る見通しですが、内需の不振により全体では前年比較で微減となる見込みです。
 平成25年度のゴムベルト生産量予測は、3万0、790トン(同101%)としました。その内訳は、内需が1万8494トン(同98%)、輸出が1万2296㌧(同107%)です。内需は経済環境が好転せず微減の見通しですが、輸出は資源国向けを主体に少なくとも第二四半期までは伸長する予想です。ただし円高の継続や欧州経済危機等が影響し後半は極めて先行きは不透明で、ゴムベルト全体で前年比微減と推測致しました。
 コンベヤベルトの平成24年度の生産量は1万8676トン(同109%)の見込みです。その内訳は、内需が9107トン(同94%)、輸出が9570トン(同130%)です。内需は、震災復興需要が期待された程伸びず、前年比減の見込みです。輸出は旺盛な資源国需要に支えられ大幅に増加する見通しです。輸出の増加により1万8000トンの大台を確保できる見通しです。
 平成25年度の需要予測は、1万9431トン(前年比104%)としました。2年連続の伸長で2万トンの大台に迫る生産量を見込んでいます。その内訳は、内需が8934トン(同98%)で微減、輸出は1万497トン(同110%)です。輸出は資源国の増大する需要で二桁増を見込み、初めて1万トンの大台に達する見通しです。
 伝動ベルトの平成24年度の生産量は1万1840トン(同87%)の見込みです。その内訳は、内需が9865トン(同84%)、輸出が1974トン(同104%)です。輸出は、前年増だが、内需が減退し二桁の大幅減となる見込みです。内需は、自動車向け補修用の減少、半導体製造装置やOA機器向けの落込み、輸入品増等の要因で大幅減の見込みです。
 平成25年度の需要予測は1万1359トン(同96%)としました。その内訳は、内需が9560トン(同97%)、輸出が1799トン(同91%)です。円高による輸入品増やHV車等の増産によるベルト需要構造の変化で内需向け生産は減少傾向と見ています。輸出も円高による影響が続き前年割れが予想されます。
 樹脂ベルトの平成24年度生産量は98万2975㎡(前年比91%)の見込みです。その内訳は、内需が91万7081㎡(同89%)、輸出が6万5894㎡(同109%)です。標準化の推進や在庫品の出荷等在庫削減策を行った結果、生産量は落ちたが出荷量は、前年並みを維持出来る見込み。
 平成25年度の需要予測は103万7505㎡(前年比106%)と100万㎡の大台は確保できる見通しです。その内訳は内需が96万4885㎡(同105%)、輸出が7万2620㎡(同110%)です。食品・食品機械向け需要は底固く、精密機械などその他の需要も順調に回復してくると期待しています。
 ここ数年来、ベルト業界は、ボーダレス化した内外の経済変動を直接・間接に係らず大きく影響を受けてきています。原子力事故・震災、円高、欧州危機、中国の景気減速等の外的要因が重なり、かつてない危機に直面しています。一方原材料価格の変動・高止まりやエネルギーコストの高騰等、乗り越えなければならない課題が多々あり予断を許さない状況です。
 このような環境下、当ベルト工業会では、経済政策や、需要先動向等を的確に把握しタイムリーなデータサービスを行う一方、コンべヤISO規格国際幹事として日本の考え方をISOに反映させ日本規格の国際化を推進する等、尚一層のベルト業界発展のため貢献してまいります。
 内外ともにこの1年が良い年となり、皆様がますますご発展されますことを心から祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます

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