【TPE特集】 住友化学 米国での需要拡大で能力増強へ

2012年12月12日

ゴムタイムス社

米国での需要拡大で能力増強へ サウジ含め世界3極体制を構築

住友化学

 「エスポレックスTPEシリーズ」
 住友化学の合成ゴム・エラストマー部ではオレフィン系熱可塑性エラストマー「エスポレックスTPEシリーズ」をグローバルに事業展開している。直近の国内需要は前年比10%程のダウンとなっているものの、米国市場及びアジアでのエアバッグ向けを中心とする自動車用部品向けが堅調に推移している。 
 同社はオレフィン系熱可塑性エラストマーの需要増大に対応、同社千葉工場での生産能力を本年6月に年産1万トンから5000トンアップし、1万5000トン体制としたが、国内需要減、為替円高、欧州景気の減速から現在の稼働率は90%前後となっている。このため、同社では実需に見合った生産体制とすることとし、老朽化した古い設備ラインから順次停止し、ビルド&スクラップを行い1万㌧体制に移行する計画。
 一方、アメリカ市場では同社子会社の住友化学アメリカ(年産4000㌧能力)が製品を供給、自動車用途分野で着実な成長をみせており、足元、米国での自動車生産の拡大でフル生産が続いている。主力のエアバッグ収納ケースではポリエステル系、SEBSからの素材展開に加え、助手席からサイド、後部座席、足元への拡大と採用部位が増えており、米国市場では日系自動車メーカーからビッグスリーへの採用も拡大、メキシコなど南米も含め大きな成長が見込まれており、今後はさらなる能力増強が必要とし、同社では2014年後半にも1ライン増設を検討している。
 主力のエアバッグ収納ケースは日本、韓国は自動車生産にスライドし大きな伸びは期待できないが、中国、アジア、インド市場ではエアバッグ装着率が飛躍的に拡大するとみており、これら欧州を含めた需要にはサウジアラビアで現在進めている石油精製・石油化学の統合コンプレックス事業で2016年半ば稼動のEPDM(エチレン・プロピレン・ゴム)、TPO(熱可塑性エラストマー)プラントでカバーしていくとしている。オレフィン系熱可塑性エラストマーの需要の約7割を占める自動車用用途ではエアバッグ収納ケース、内装シート、塩ビ代替から加硫ゴム製品代替に需要が拡大、合成ゴム代替ではTPOのトータルコストダウンが評価され、ウェザーストリップ、トリム、ボディシール、グラスランにと拡大している。
 同社では自動車の軽量化、リサイクル要求からEPDMからTPEへのシフトはさらに進むとし、「ポリプロ、EPDMの原料からの機能性向上、新グレード開発が可能である強みを活かし、マルチプラントでよりゴムライクで耐熱性、耐寒性にすぐれるTPE製品の開発、生産に注力する」としている。新グレードとして高架橋タイプ(6000番シリーズ)を先に開発したが、現在、よりニーズに対応したニューバージョンを試作中で、サンプル出荷を経て、来春にも本格販売を開始する予定。

(2012年12月10日紙面掲載)

 

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