ブリヂストン NEDOと共同で「超低燃費タイヤ用ゴム」技術を開発

2012年10月23日

ゴムタイムス社

 ブリヂストンは22日、革新的なナノ階層構造設計による「超低燃費タイヤ用ゴム」の技術開発に成功したと発表した。
 同新技術は独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下NEDO)のナノテク・先端部材実用化研究開発の一環として開発されたもの。
 研究開発では乗用車タイヤ用ゴム材料の各原材料である、ポリマーおよび充填剤等の配置をナノレベルで最適化し、従来の乗用車用低燃費タイヤ用ゴム対比でエネルギーロスを40%以上低減、耐摩耗性能を25%以上向上するゴムの技術開発に成功している。
 同技術開発を通じて得られた研究成果(評価・解析・予測法)は今後同社の材料技術「ナノプロ・テック」と融合させ、現在市販されている低燃費タイヤ(低燃費タイヤの転がり抵抗ラベリンググレードAA~AAA相当)対比で転がり抵抗をさらに20%低減したタイヤの開発を目指す。
 同プロジェクトではNEDOによる支援のもと、ブリヂストン、JSR、東北大学原子分子材料科学高等研究機構、九州大学先導物質化学研究所、産業技術総合研究所ナノテクノロジー研究部門が産学官連携のオープンイノベーション研究体制を構築し、世界最高水準の分析、解析、計算、材料技術を融合させることで目標を達成した。
 同社はタイヤのライフサイクル各段階におけるCO2排出量を算出すると「製品の使用段階」が約9割と大半を占めており、タイヤの転がり抵抗低減は自動車の低燃費化によるCO2排出量削減を通じて、「気候変動」という地球規模の環境問題に対し大きく貢献できるとしている。従来、ゴムによるタイヤの転がり抵抗低減は、主に充填剤の分散状態を制御することにより行ってきたが、相反する他性能等とのバランスから限界に近づいており、さらなる転がり抵抗低減にはこれまでに無い全く新しい観点でのゴム材料の技術開発が必要とされていた。
 今回、ゴム材料中の各部材の空間配置をナノサイズで最適化する「三次元ナノ階層構造制御技術」の開発により、同社の乗用車用低燃費タイヤ用ゴム対比エネルギーロス44%低減、耐摩耗性能26%向上に成功。最適化末端変性ポリマーによるブレンド形態の制御による耐摩耗性の向上と同時に、専用設備による充填剤の配置最適化により、低ロス化を図る。さらに、加硫条件の最適化による架橋網目分布の均一化により、更なる低ロス化を図った結果、低いエネルギーロスと高い耐摩耗性という、相反する特性を同時に備えた革新的なタイヤ用ゴム材料の開発に成功した。
 今後はブリヂストンが本研究開発で得られた評価・解析・予測法について、同社の材料設計技術である「ナノプロ・テック」と融合させながら、現行の低燃費タイヤ用ゴム開発に適用をしていく予定。さらに、研究開発の成果の実用化についてはスケールアップの検討を進めていく。

研究概要図

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