住友ゴム タイヤ新工法開発 「NEO‐T01」を発表

2012年10月15日

ゴムタイムス社

   住友ゴム工業は5日、タイヤ製造技術における「超高精度」を追求した次世代新工法「NEO‐T01(ネオ・ティーゼロワン)」が完成したと発表した。
 同日、白河工場で次世代新工法見学会が開催された。新工法は従来より真円性の高いタイヤの製造を可能にする製造技術。
 見学会冒頭で、池田社長は「次世代新工法は、先日発表したビジョン2020を達成するための成長エンジンの一つであるあくなき技術革新を具現化した一つの解答であります。 タイヤ製造技術のイノベーションと呼ぶのに相応しい革新的な新工法であると自負している」と新工法に自信を見せた。
 同社では今後、「NEO‐T01」により高性能タイヤの開発を更に推進する方針。
 「NEO」は、「NEXT(ネクスト):次世代」、「ELABORATE(エラボレート):精密な」、「ORB(オーブ):球体」の頭文字の組み合わせ。「T」は、「太陽」、「テクノロジー」、「タイヤ」の意を込め、「01」は次世代新工法の「初代」としての位置づけを表現している。
 「NEO‐T01」の第1弾商品としては、2014年に安全性と快適性、軽量化を高次元でバランスさせた次世代ランフラットタイヤの発売を予定している。
 同社は1913年に国産第一号タイヤを生み出して以来、タイヤ製造技術を日々進化させ続けてきた。1996年には「高精度と高性能の追求」をテーマとし、生産工程の全自動化と設備の小型化を実現した、新工法「太陽」の開発に着手。その後「太陽」は拡大と進化を続け、累計生産本数は現在、3600万本を超えている。
 日本では2003年5月に初披露し、2004年にSUV用タイヤ、二輪車用タイヤ、2006年にはトラックバス用タイヤと拡大と進化を続けている。
海外ではタイ工場で既に導入しており、2013年稼働のブラジル工場、2015年に稼働するトルコ工場でも導入を予定している。
 同社は100年に渡り、タイヤ製造技術を進化させ続けてきたが、モータリゼーションの進展は今後もとどまる事は無く、低燃費などの環境性能や安全性能など、タイヤに求められる要求性能はますます高度化していくことが予測されることから、「太陽」を超える「超高精度」を実現するための新たな工法開発のプロジェクトを2008年からスタートし、今回、次世代新工法「NEO‐T01」を完成させることとなった。
 「NEO‐T01」で採用したキー技術は「メタルコア工法」「全自動連結コントロール」そして「高剛性構造」の3つ。
 中でも、「NEO‐T01」の最大の特長ともいえるのが、「メタルコア工法」。
 従来工法ではタイヤ成形の際、筒状のドラムを使用し、このドラムに各部材を貼り付け、加熱膨張させて成形を行っていたが、新工法では超高精度を実現するために、実際の仕上がりのタイヤサイズと同じサイズである「メタルコア」と呼ばれるタイヤ内側の形状をした金属の金型にタイヤの各種部材を貼り付けて成形するため、全工程で同形状を保ち続ける事が可能になり、より真円に近いタイヤを製造できる。この工法によって、タイヤの振動騒音に大きく影響する高速ユニフォミティを70%低減し、快適性能を大幅に向上させることができる。

 2つ目のキー技術である「全自動連結コントロール」では、ストリップ部材の生成・加工から、メタルコアへの貼り付けまでの全てを100分の1ミリ単位のコンピュータ制御システムによってコントロールすることにより、それぞれの部材で最適な重量を割り付ける事を可能にした結果、従来工法比較で10%の軽量化を実現した。
 3つ目のキー技術である「高剛性構造」では、設計通りのサイズ・形状のメタルコアで成形から加硫までの工程を終えるため、これまで使えなかったケブラやスチールカーボン繊維など強靭な素材を補強部材に採用できる。これにより高速走行時の形状変化を50%に抑えることが可能となる。
 生産時間は従来工法比較で2倍かかるが、材料補給やサイズ替えなどを含めるとトータルでは1・3倍かかる見込みで今後の課題となっている。
 コスト面では、「メタルコア」のコストがまだ高いため、生産コストは従来比で約10%高くなっている。
 今後の展開については、
「黒田豊・常務執行役員は「2020年までには全体の4割を太陽工法と次世代新工法で生産したい」
 工法の使い分けについては、従来工法は一般タイヤからある程度高性能のタイヤにおいて使用し、太陽工法はコンパクトな工法なので、今後拡大する海外工場において使用する。次世代工法は、現段階ではフラッグシップタイヤを生産する予定。

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