ランクセス 中国江蘇省に世界最大規模のEPDMプラントを建設

2012年09月10日

ゴムタイムス社

 ランクセスは10日、2億3500万ユーロを投資し、中国江蘇省常州市に世界最大規模のEPDM製造プラントを建設すると発表した。

 同社設立以来、中国における最大の投資となる。年間製造能力16万トンを備える同プラントは、2015年に稼動開始予定。最大200名の新規雇用が見込まれる。現地当局からは、必要な全ての承認を取得済み。

 同社は、2011年にDSMエラストマーズ事業を買収したことで、EPDMの世界有数のサプライヤーとなった。現在、ランクセスのEPDMは、「ケルタン(Keltan(R))」の商標名で販売されている。EPDMの世界需要は、今後数年間において年率4%以上増加。中国においては特に自動車産業、および建設業が原動力となって同8%前後の増加を見込んでおり、今後数年間、世界最大のEPDM純輸入国の地位を維持すると予想されている。

 同社CEOのアクセル・ハイトマン氏は、5日に実施された起工式で「ランクセスは、中国に世界規模の製造プラントを建設することで、当社が保有するグローバルのEPDMの生産拠点基盤の強化を図ります。これにより、ランクセスのアジアの顧客に高品質な製品をより迅速に供給することが可能となります。同プラントは、当社におけるゴム関連分野においてアジアで3番目となる大規模な投資です。ランクセスは、世界有数の合成ゴムサプライヤーとしての地位を確固たるものにします」と述べている。

 新プラントでは持続可能な製造を実現するためにケルタンACE技術を使用。従来の技術と比べ、ケルタンACE触媒技術は製造時のエネルギー必要量を低減し、高い触媒効率を発揮するため触媒回収を必要としない。さらに、その工程により、油展EPDMや特殊な高分子量EPDMのような新しいグレードの製造を可能にする。新プラントでは、10種類の高品質グレードのEPDMがアジアの顧客ニーズに応える。
 同社は、すでにヘレーン(オランダ)、マール(ドイツ)、オレンジ(米国テキサス州)、トリウンフォ(ブラジル)の各拠点でEPDMを製造している。これらの拠点の総製造量は、年間32万トンにのぼる。また、2013年にヘレーン拠点の製造量の50%をケルタンACE技術を導入した製造に変更する予定。

 EPDMは、ドアシール材、ワイパーブレードなど特に自動車産業で使用される。同製品は、プラスチックの改質用途、ケーブル及びワイヤー、建築、オイル添加剤などの分野でも使用されており、低比重、耐熱性、耐酸性、耐薬品性、耐候性、電気絶縁性などの卓越した特性を備えている。
 また、同社は、中国は同社のグローバル成長戦略の要であるとし、2012年度の中華圏(中国本土、香港、台湾、マカオ)の目標売上高を10億ユーロ超に設定している。全13ビジネスユニットが中華圏の10拠点で事業活動を展開し、約千名の従業員が従事している。

起工式の様子

起工式の様子

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