【合成ゴム特集】電気化学工業 技術開発力を強化・拡充

2012年08月29日

ゴムタイムス社

技術開発力を強化・拡充  低発熱性グレードが浸透

電気化学工業

 電気化学工業の合成ゴムCR「クロロプレンゴム」(デンカクロロプレン)の足元の需給動向は中国、アジア向けの接着剤用途分野での輸出が落ち込んだものの、国内販売は自動車生産の回復で自動車部品向けが堅調に推移しているという。
 販売の8割以上を占める欧州、中国ほかアジアでの輸出市場の需要は中国景気の停滞、欧州金融不安から低迷しているが、中国市場では昨年末の在庫調整局面から比べると戻りつつあるという。
 中国市場での需要拡大を図るため、同社では「電化新材料研発(蘇州)有限公司」を中国江蘇省蘇州市に設立し、中国の市場が求める性能、品質、コストを踏まえた将来性のある商品ど開発を行い、ワイパー、防振ゴムなどの自動車部品をはじめとした用途展開を積極的に進めている。
 その中国市場では中国商務部が2012年8月8日から、電気化学工業が生産するクロロプレンゴムの輸入に適用しているアンチダンピング措置について、中間評価調査を行うと発表しており、同社では「販売に致命的ダメージはないとしながらも」懸念材料の一つであるとしている。
 今後の需要見通しについては、短期的には自動車のエコカー減税の反動や世界景気低迷による影響により厳しい見通しとしているが、「欧州、中国ほかアジアでの輸出市場の需要がキーになるが、アセアン、中国、台湾での自動車部品、工業品向けの需要は底堅いものがある」と見ている。
 今後の成長市場であるインドでの拡販体制の強化を図るほか、米国では一昨年のアンチダンピング指令解除に伴い、米国での市場シェア10%を掲げ市場開発を開始しているが、自動車用ベルトなどでの品質面での性能が高く評価され、着実に成果を上げている。 
 同社は石灰石とコークスを主原料としたカーバイト・アセチレン法により青海工場で年産10万トンの生産能力を有するが、米国向けの供給量確保を含め、青海工場での現行の5~7%の能力増強を2013年度中にも実施する計画。
 青海工場では自家発電の能力アップに加え、生産性向上により、製品の安定供給並びに事業の採算維持に努めていくとしている。
 同社ではまた、長期的なCRの需要増、並びに円高対応を図るためにもアセチレン手当が可能な海外での新工場建設について引き続きその可能性を検討している。
 技術開発力、販売力により世界でNO1のCRメーカーを目指し、成長・発展させるためには、日本以外での海外生産拠点は不可欠としている。
 同社では技術開発製品についても活発で、他社にない動的発熱を抑え、耐久性が向上した産業用、2輪用伝動ベルト向けの低発熱性の新グレードを開発しており、Vベルトでの採用が本格化している。今後の注力分野としてラテックスの開発、販売を挙げており、接着剤用途、医療用手袋、建築資材としての用途展開を図っていくとしている。

(2012年8月27日紙面掲載)

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