十川ゴム 十川利男社長 3期連続で増収増益に 自動車、建機向けホースが伸長

2012年07月30日

ゴムタイムス社

 新体制移行から3期連続で増収増益決算となった十川ゴム。スピードとレスポンスでバランスの取れた企業体制の確立を目指す十川利男社長に経営課題を聞いた。

 前期(12年3月期)業績の総括を

 十川社長 売上高が145億7900万円、前期比3・2%増、経常利益が3億1100万円、前期比3・3%増となり、52期の新体制移行後、3期連続で増収増益となった。前期は東日本大震災を受けてのスタートであり、先行きが見通せない厳しい需要環境の中にあって、わずかながらでも前期実績を上回り、無事乗り切ることができた。

 増収増益の要因は

 十川社長  型物、押出成形品、ゴムシートなどの工業用ゴム製品が微減となったが、ホース類が前期比7・8%増と堅調に推移したことで売上高が前期実績を上回った。 ホース類は建機関係及び土木・プラント関係ホースなどの好調により油圧機器産業用、土木・建設機械産業用、設備装置産業用、一般機械産業用も前年を上回り好調に推移した。自動車産業用は下期に大幅に回復し、通年では微減にとどまった。 収益面ではホース類の増収に加え、原価低減やゴム板、ホース類の価格改定で原料コストアップを吸収した。

 足元の需給動向は

 十川社長 今期第1四半期は自動車用の燃料系ホース類が自動車生産の回復に伴い前年同期比6割の伸びをみせているが、汎用ゴムシートは昨年の仮需に比べると低水準となっており、売上高は前年同期比10%増、経常利益も黒字を維持している。6月後半から汎用ゴムシート、ホース類でやや減速感があり、震災復興需要に期待を寄せたいが目に見えた動きはない。

「復興対策室」を設置  ニッチマーケット分野に注力

十川利男社長

十川利男社長

 通期業績予想は

 十川社長 7~9月期は苦戦すると思うが、上期の売上高は前年同期比4%アップをクリアしたい。当社では季節商品であるガス管など下期のウェイトが高く、何とか通期でも売上高は前期比2%増、経常利益は原材料価格の乱高下が激しいものの高止まりの原料動向を考慮し前期並みを維持したい。

 今後の経営課題は

 十川社長 東日本大震災による復興需要の取り組みと国内に残った大口径バンドレスホースやエキスパンションジョイントなどの土木・プラント関連のニッチマーケット分野の拡販が課題である。 復興需要の掘り起しを図るため、東京支社に「復興対策室」を本年4月に設置し、情報収集及び営業活動を開始している。火力発電所向けのメンテンナンス、補修用部材が動いている。

 設備投資及び海外事業展開について

 十川社長 設備投資は需要環境の変化に柔軟に対応していく計画でいるが、前期は研究開発、新規製品ラインなどに4億1800万円を実施、今期も前年を上回る投資額を計画していおり、市場の成長性を見極めながら合理化等を中心に段階的に実施していく。原材料の海外調達率アップや各工場でまたがり重複する製品生産を一工場に集約するなど、実需に見合う生産体制を構築していく。

 海外事業については中国浙江省の子会社でOリング、水洗用パッキンなどの金型成形品を生産している「紹興十川橡胶有限公司」の事業強化を図ってきたが、日本からの注文による輸出が8割を占めており、足元、その受注が減少していることから、今後は中国国内の日系企業への販売、受注を増やしていく。

 新規事業について

 十川社長 新規製品には建設機械のバイオディーゼル向けの新燃料ホースや2色成形樹脂製品の自動車部品(スイッチカバー)、燃料電池用の温水配管材(樹脂継手)などが堅調だが、今後は開発のリードタイムを短くし、顧客の目線に立った開発を進めていく。製品開発では顧客と一緒になって進めており、これまでは横展開ができていなかった。その意味でも当社の製品をよく理解、知ってもらうべく製品の検索機能を充実させたホームページもリニューアルした。営業担当にも各種製品や原材料をまとめたハンドブックやサポートブックを持たせ、当社のPRを図る営業活動を展開しており、顧客の需要に応えていきたい

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