東海ゴム工業 西村義明社長 中計で「変革と成長」目指す

2012年07月30日

ゴムタイムス社

 2015年度までの中計をスタートさせている東海ゴム工業。「新興国での生産体制を強化、更なるグローバル企業を目指して、今後は中南米地域への事業進出に着手する」と西村義明社長は語る。同氏に業績予想と事業方針などを聞いた。

 ―足元の状況と下期の需要見通しは。  西村社長 足元の状況は、エコカー補助金制度の実施などで新車販売が順調に伸びており、自動車用品は堅調に推移している。従って、4―9月の上期は若干上振れの可能性もある。一般産業用品は事務機器向けの化成品の需要が低迷しており、建機向け高圧ホースも中国市場の減少で厳しい見通しだ。一方、下期の見通しだが、自動車関連では今夏にもエコカー補助金が終了する見込みとなっており、その反動で新車販売の落ち込みが予想される。  世界経済をみると、日本は震災や原発事故の影響が、まだまだ解決されていないが、市場としては回復傾向にあり、今後も緩やかな伸びが期待される。しかしながら、欧州経済は債務危機が長引き、米国も大統領選が控えているもののパッとせず、インド市場も高い成長率のようだが、それほど伸びているようではないとの話を聞く。  世界経済をみると、下期は厳しさが予想され、通期の業績予想は当初計画通りでの推移になるのではないかと思われる。  ―本年の経営方針について。  西村社長 基本的には、新たに策定した中期経営計画に沿って事業展開を進めていく。この中計は2015年のグループビジョンをまとめたもので、10年後の2020年の経済情勢や経営環境の予測を行い、2020年にありたい姿を描き、その実現に向けて2015年までのビジョンを策定した。全体構想は既存事業の持続的成長、新市場・新分野への事業展開、2020年に向けた事業基盤の確立をビジョンとし、変革と成長を目指す。  ―具体的な重点課題は。  西村社長 自動車用品はグローバルでの競争力強化を図り、海外現地生産拡充により非日系自動車メーカーへの参入を目指す。また、電気自動車やハイブリッド車、燃料電池車向けの商品開発並びに超燃料低透過材料の開発を加速させる。  一般産業用品分野では既存事業においては新興国向け製品の拡充、最適納入体制の構築を図る。産業資材分野は高圧ホース事業の中国、インドでの拡販、鉄道車両用防振ゴムの北米、インド、欧州での新規展開、住宅関連向け制振ダンパーの拡販や創業以来培ってきたコア技術を軸とした新商品の創出などだ。  ―業績目標について。  西村社長 中計最終年度の2015年度に連結売上高4200億円、営業利益340億円、営業利益率8%を目指す。  ―グローバル化の現状について。  西村社長 生産拠点の確保では中南米を除き、ほぼ完了していると言える。インド北部には自動車用防振ゴムの新工場を建設、13年から量産開始する予定。インドでは3ヵ所の生産拠点となり、主要な自動車生産拠点への納入体制が大幅に拡充される。  中国では、防振ゴムのコスト低減を狙いに天津でプレス金型の合弁会社を設立した。また、インドネシアでは二輪用の樹脂ホースの生産を開始、タイではゴムコンパウンドの生産を来年1月から開始する予定。  今後の拠点設立では、中国において自動車用ホースと内装品をいかに低コストで生産できるかが課題であり、今年中には結論を出したい。欧州ではポーランド工場が手狭となっており、第2工場の建設を考えている。  ―グローバル化の加速に対する人材育成も課題ですね。  西村社長 グループ社員向けの研修センターを、岐阜県各務原市に設立する。中計のビジョン達成に向けて、将来の経営戦略を担う人材の開発・育成を進める。  ―新製品・新技術の開発について。  西村社長 窓用高透明熱線反射フィルム「リフレシャイン」のシリーズ拡充を図り、国内外で拡販する。国内では住宅メーカーとタイアップして販売代理店会「リフレ会」の販売ルートを活用していく。一方、海外では東南アジアでの拡販に期待しており、シンガポールの代理店を通じてテスト販売を開始している。また、介護支援ロボット「リーバⅡ」の本格ビジネス展開にも注力する。

西村社長

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