島津製作所 軟素材に特化したCTシステムを発売

2012年07月19日

ゴムタイムス社

 島津製作所は18日、樹脂や薬品、骨などの軟素材を高拡大かつ鮮明な画像で3次元観察できる、マイクロフォーカスX線CTシステム「inspeXio SMX‐100CT」を7月24日に発売すると発表した。


 同装置は、微小焦点のX線発生装置とX線検出器の間でサンプルを回転させ、観察したデータを元にサンプル内部の3次元構造を再構成する装置。部品の内部欠陥の観察や、3次元的な繊維配向、形状の計測等に用いられている。同社マイクロフォーカスX線CTシリーズの最高機種「inspeXio SMX‐225CT」から、3次元位置決め機能やキャリブレーション機能、自動撮影条件設定機能といった便利な機能を継承しつつ、樹脂をはじめとした軟素材向けに特化した。ヒトの歯やマウスの骨、炭素繊維強化プラスチックなど、X線の透過しやすい軟素材を「誰でも」「簡単に」「美しい」CT画像でとらえることができる。

 近年、化学やエレクトロニクス業界では省エネや省資源化を背景として、燃料電池やリチウム電池をはじめとする電池材料や軽量化のための樹脂素材などに関する研究が進み、電極や素材の構造解析にCT装置が用いられている。GFRPやCFRPなどの繊維強化プラスチックの研究開発においては、5μmから数十μmといった非常に微細な繊維構造の観察が行われており、高拡大率かつ鮮明な画像で観察ができるCT装置が求められていた。また、生体・骨・軟組織の研究分野においては、実験動物を用いた骨粗しょう症、リウマチなどの病気に関連する骨組織の観察や、骨補強材の構造解析にCTが利用されており、今後、軟素材向け高拡大CT装置へのニーズはさらに高まることが予想されている。

 同装置はこれらニーズに対応し、簡単にサンプル内部の3次元構造を観察できる基本設計に加え、同社独自の使いやすい機能と超高速演算処理システムHPC inspeXioを標準搭載することにより、高拡大で鮮明なCT画像をより速く、より美しく実現する。GFRPのガラスファイバーを抜き出し、繊維配向を可視化、繊維配向の解析等の構造解析に役立てることなども可能。

 特長となるのはより高度なスムージング機能。新たな画像処理技術により、ノイズを減らしながら、画像の劣化を抑えることが可能となった。これにより、繊維などの3次元的な構造の観察時により鮮明な画像を得ることができる。

 また、CTスキャン領域3次元データ表示機能により、3次元的な位置決めが容易に可能になり、サンプル内部のどの部分をCTスキャンするかをリアルタイムで確認することができるようになる。

 同装置はX線発生装置の周囲に衝突検知センサーを搭載しており、サンプルの衝突による損傷を未然に防ぐ。また、スライド扉を閉める際に、指はさみこみ事故がおきないよう、指はさみこみ防止機構(ドア・セーフティ)を装備するなど、安全にも配慮した設計となっている。

マイクロフォーカスX線CTシステムinspeXio SMX-100CT

マイクロフォーカスX線CTシステムinspeXio SMX-100CT

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