【合成ゴム特集】低燃費タイヤ向け「S-SBR」の需要拡大

2012年08月29日

ゴムタイムス社

低燃費タイヤ向け「S-SBR」の需要拡大

 アジア新工場建設に着手 欧州の燃費規制施行追い風

 合成ゴム各社の 2012年度第1・四半期の合成ゴム国内販売は、自動車タイヤや自動車用部品の旺盛な需要に支えられ堅調に推移したが、輸出販売は、中国景気の減速の影響を受け、販売数量、売上高とも前年同期を下回った。主原料であるブタジエン需給の緩みもあり、海外市況が軟化、収益の低下を招いた。こうした中、主力のタイヤ市場では世界的な環境意識の高まりやタイヤの低燃費性能のラべリング制度の普及を追い風に、低燃費タイヤ向けのS-SBR(溶液重合法スチレンブタジエンゴム)の需要が拡大した。
 S-SBRの主力市場であるタイヤ市場は、世界的な環境問題から新車用タイヤ、リプレイス用タイヤ共に低燃費性能が重視され、その需要が大きく拡大している。日本自動車タイヤ協会(JATMA)の業界自主基準となる「ラベリング制度」が2010年1月からスタート。欧州では2012年11月から燃料効率、ウェットグリップ、車外の走行音に関する表示が義務づけられる環境規制が施行される。タイヤメーカー各社では、欧州規制やラベリング制度に基づく「低燃費タイヤ」の新商品を相次ぎ発売している。
 アジア地域における顕著な車社会化、およびより厳しい環境基準と安全基準を満たした高性能タイヤを求めるドライバーの増加もあり、複数の大手グローバルタイヤメーカーのBRICs市場、中国・インド・タイを初めとするアジアでのタイヤ新増設計画も相次いでいる。合成ゴム各社はこうした低燃費タイヤ向けへの需要が世界的に急拡大しているのに対応、国内工場での生産能力増強を図るとともに、アジアでの新プラント建設に着手、グローバルで最適な供給体制の構築を図り、SーSBR事業の拡大を積極的に進めている。
 旭化成ケミカルズはシンガポールにおいてSーSBR製造プラントの第1系列(年産5万トン)の建設に着手しており、2013年5月の稼動開始を計画。第1系列の隣接地に年産5万トンの第2系列を建設することを決定しており、2015年1月の稼働を予定している。国内工場での生産能力(BRと併産)は川崎工場(10万5千トン)、大分工場(3万5千トン)の計14万トン。
 JSRはタイの合弁パートナーであるBSTと共同でタイで初めてとなるS-SBR製造プラントの起工式を2012年3月19日に開催。第一期として5万トン/年の新プラントを建設、2013年6月稼働予定。第2期(5万トン)を2015年に予定、計10万トンを計画している。国内では四日市工場で2011年12月に2万5千トン/年の能力増強を図り、6万トン/年体制とした。欧州にもS-SBRの生産拠点を持ち、3万トン/年の引取り権契約に基づいた生産を行っている。
 日本ゼオンはシンガポールに新たなS-SBRの製造プラントの建設を進めており、第1期(年産3~4万トン)は2013年7月に商業生産開始、第2期(年産3~4万トン)は2016年前半に商業生産を開始する計画。国内工場は徳山工場に年産5万5千トンの生産能力を有する。
 住友化学もシンガポールにおいてSーSBR製造プラント(年産4万トン)を建設することを 2010年11月に決定し、2012年1月に着工。商業運転開始は2013年第4四半期を予定しており、第2期計画の検討も進めている。国内には千葉工場で年産1万トン能力を有する。

(2012年8月27日紙面掲載)