【カーボンブラック特集】 旭カーボン 技術力を発揮して需要確保

2012年06月18日

ゴムタイムス社

技術力を発揮して需要確保  バイオマスカーボン 将来技術で研究開発を加速

旭カーボン

 旭カーボン㈱はタイヤメーカーのブリヂストンのグループ会社であり、提案型企業という使命のもと、高度な品質管理体制でタイヤをはじめ、自動車部品向けのカーボンブラックを製造販売している。
 同社は独自のカーボン製造技術で1951年に創業し、ブリヂストンの高分子ポリマー技術と融合させて最先端のカーボン開発テクノロジーを実現した。タイヤのほかウェザーストリップやワイパーブレード、防振ゴムなど自動車部品向け並びにカラー用カーボンブラックの開発、生産販売を行っている。
 今期(12年12月期)の業況は、堅調なタイヤ需要を背景に、前期比ほぼ横ばいで推移、販売数量の上期見込みは微減にとどまりそう。「工場の稼働状況はタイヤ向けは高水準ながら、自動車部品向けは若干の余裕がある状況。震災後は、比較的早期の復旧で需要は回復基調にあるが、自動車の海外生産拡大を背景に部品メーカーも現地生産を拡大させており、生産車種の構成にもよるが、先行きも国内需要は成熟化から大きな伸びを期待するのは難しい」(同社)としており、下期の生産計画も前年同期比若干の減を予想している。
 しかしながら、国内は低燃費タイヤ向けのカーボン需要が堅調に推移しており、研究開発にも注力している。
 ブリヂストンは持続可能な社会の実現に向けたタイヤ将来技術を発表したが、バイオマス由来カーボンブラックの開発も大きなテーマとなっている。このカーボンブラックの研究はブリヂストンと旭カーボンの共同研究によるもの。バイオマスから作った中間原材料を用いてカーボンブラックを得る技術。これまで蓄積した原材料合成技術を生かして再生可能資源化することを目指す。植物油脂類を原料油として用いたカーボンブラックがその例となる。
 なお、旭カーボンは石油系、石炭系原料油の価格高騰によりカーボンブラック事業の採算が悪化、安定供給の観点からも価格改定が必要と判断、キロ当たり13・5円の値上げを打ち出し、粘り強い交渉の結果、ほぼ満額ラインで決着した。
 タイヤメーカーは新興国での自動車生産拡大に対応し、現地生産化を加速させており、今後も中国やアジア地域での生産増が見込まれている。一方、国内生産は縮小傾向にあり、旭カーボンもグローバル展開の重要性を認識している。

(2012年6月18日紙面掲載)

 

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー