日本ゼオン 12年3月期連結決算 最終利益は過去最高

2012年05月15日

ゴムタイムス社

 日本ゼオンは10日、2012年3月期連結決算並びに2020年のありたい姿を描き、11年度を初年度とする3ヵ年の中期経営計画「SZ―20」の進捗状況を発表した。
 この説明会には同社の古河直純社長、南忠幸取締役常務執行役員らが出席し概況を述べた。
 同社の3月期連結決算は、売上高2628億4200万円、前期比2・8%減、営業利益321億2300万円、同9・0%減、経常利益314億8700万円、同6・4%減の減収減益となった。収益は前期が過去最高であり、11年度はこれに次ぐ収益となった。当期純利益は191億2700万円で同4・5%増となり、最終利益は過去最高を更新した。
 売上高は75億円の減収となったが、値上げ効果の価格差で247億円が増収となり、数量差266億円、為替差損56億円が減収要因となった。従来、エラストマー事業に計上していたブタジエンの販売を除外したことで約66億円が見かけ上マイナスとなり、実質的には約10億円程度の減収。
 営業利益段階における増減要因は、プラス材料として価格差で247億円、コストダウン45億円があり、減益要因は数量差で99億円、為替差損56億円、原料・原価148億円、本社費増など21億円、差引き32億円の減益となった。
 合成ゴムの国内販売は、自動車関連部品向けで震災およびタイ洪水による影響があったものの主要用途であるタイヤ向けは顧客の需要が堅調に推移し、また原料価格に応じた価格改定を実施したことにより、販売数量、売上高とも前期を上回った。輸出は、国内販売同様に価格改定を実施したが、荷繰り販売調整の実施などにより販売数量、売上高とも前期を下回た。
 海外子会社は、米国子会社の販売数量が前期を下回ったものの原料価格に応じた価格改定を実施したことにより、売上高は米国子会社、英国子会社のいずれも前期を上回った。
 セグメント別の売上高は、エラストマー事業が1775億4700万円、同2・4%増、営業利益は301億6600万円、同7・0%増、高機能材料事業は売上高481億3400万円、同3・3%減、営業利益4億9100万円、同92・4%減となった。
 中計の進捗状況については古河社長が説明した。
 エラストマー素材事業では、本年7月着工予定でタイの石油樹脂の第2期増設(2万㌧)やシンガポールの「S―SBR」新設、サンプル供給を開始した米国での「Zポール」の増産、中国でのパウダースラッシュ材料の新設など、成長市場へのグローバルな対応による事業強化を推進する。
 古河社長は「計画の最終年度である13年度には、連結売上高3200億円を目指す。そして2020年度には売上高5000億円を目標とするが、11年度から20年度までの累計期間で3200億円の設備投資を実施、海外生産比率を現在の21%程度から50%まで引き上げる計画」と語った。

中計を説明する古河社長

中計を説明する古河社長

関連キーワード: ·

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー