【TPE特集】 三菱化学 グローバルに生産能力拡大

2012年05月01日

ゴムタイムス社

グローバルに生産能力拡大 「サーモラン」中国新プラントが稼働

三菱化学

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 三菱化学の機能性樹脂事業部はグローバルに需要が拡大するオレフィン系熱可塑性エラストマー「サーモラン」 及び接着性樹脂の生産能力増強を進めているが、このほど中国・蘇州の「愛普科精細化工(蘇州)有限公司」の新プラント(年産4500トン)が完成、本年5月より本格生産を開始する。
 一方、米国でも米国子会社の「三菱ケミカルパフォーマンスポリマーズ」内に現行生産能力9200トンから1800トンの能力増強を進めていたが、2011年11月に完工し年産1万1000トン体制となった。また、欧州においても生産量が順調に拡大しており、日本、欧州、北米に中国を加えた4極において、オレフィン系熱可塑性エラストマー及び接着性樹脂の製造・販売体制が確立されることになった。また、塩ビ系エラストマー「サンプレーン」もタイ及び周辺諸国において自動車用途を中心に需要が拡大しているのに対応、タイの子会社「サンプレーンタイランド社」のアマタナコン工場内の生産能力を4000トン増強し、年産1万9000トンまでに拡大、本年4月から操業を開始した。
 同社の機能性樹脂事業は三菱ケミカルホールディングスの中期経営計画でも成長事業と位置づけられており、今後特に成長する自動車、医療分野はじめ電線、食品等他分野において日・欧・米に加え、新興国においても事業拡大を図っていく方針。
 同社の機能性樹脂事業部ではオレフィン系「サーモラン」、スチレン系「ラバロン」、ポリエステル系「プリマロイ」、リアクターTPO「ゼラス」、オレフィン系「オレフィスタ」、塩ビ系「サンプレーン」を事業展開、足元、主にエアバッグカバーなどの自動車部材の原材料として使用されている「サーモラン」は国内自動車のリカバリー増産により需要が回復。医療用・食品用向け主体の「ラバロン」は前期比微減となったが、「ゼラス」は液晶関連向けが本年4月に入り回復基調にあるという。また、「プリマロイ」は電子部品関連では震災の影響を大きく受けたが、光学、医療分野をターゲットとした耐熱性、透明性に優れる新グレードである「CPシリーズ」の投入で拡販を図る。
 「サンプレーン」はタイ洪水の影響を受けたものの、後半からの自動車生産の回復で前年比5%増と堅調に推移しており、今期も需要の拡大を見込んでいる。
 同社では各種産業分野での機能性樹脂コンパウンド材料の強みを生かした需要分野別展開を進め、新ポリマーのコンパウンド化など新たな切り口での自社グレード開発への注力をはじめ、製造、マーケティングにおいても戦略的な事業運営を加速させていくとしている。

(2012年4月30日紙面掲載)

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