【ゴム・ビニール手袋特集】 2010年度 手袋国内販売数量 

2012年05月07日

ゴムタイムス社

 2010年度手袋国内販売数量 新製品投入で需要喚起

 家庭用、作業用順調に回復 原材料価格高騰に苦慮

 日本グローブ工業会は先に2010年度のゴム・ビニール手袋の国内販売数量実績をまとめた。これによると原料ラテックスを中心に原材料の価格が過去最高水準まで高騰し、長引く不況や不安定な雇用情勢から経営に少なからず影響を受けた1年であったが、全般的な販売数量は家庭用、作業用ともに昨年を上回り、順調に回復の傾向にあるが、ピーク時の数量には届いていないのが現状としている。医療用は主力の手術用手袋が安定推移した。

 〈家庭用手袋〉
 家庭用手袋は合計で9543万8000双で前年比105・5%。品種(素材)別前年比は、ビニール手袋110・6%、ゴム手袋97・5%、ニトリル105・1%であった。前年度はビニール手袋が一部工場作業用として使用されているものもあることから、稼働率低下の影響を受けゴム手袋に比し落ち込みが大きかったが今期は逆の現象となった。一部需要回復の動きが見られるうものの、相次ぐ原材料高騰の中で特に天然ゴムの急騰による市場対応への影響もあるものと見られる。
 厚さ別ではビニール・ゴムともに厚手の伸びが高く、この数年でみても極めて珍しい現象となった。これは前期の落ち込みが非常に大きかった反動によるもので、傾向としての薄手化の流れは変わっていない。
 なお、一般極薄手袋(使い捨てタイプ)は用途の汎用化に伴いここ数年ほぼ2ケタ成長が続いており、2010年は15億6909万枚、前年比109・4%と伸長し、ここ数年順調に成長が続いている。

 〈作業用手袋〉
 合計では1億2003万9000双で前年比106・8%となった。ディップタイプおよび防寒タイプが2ケタ伸長となった反面、ゴム張りタイプやプリントタイプが前年割れとなった。今期単年度の伸びでは家庭用手袋を上回ったが、3年間比較では家庭用が99・2%まで回復したのに対し作業用は97・4%と若干回復が遅れている。
 一方、中国市場において、原材料や人件費の高騰が止まらず、人手不足による操業及び品質劣化等の不安も生じてきており、国内市場への対応(需給・市況)が極めて厳しい状況となっている。

 〈医療用手袋〉
 手術用手袋は7192万1000双で前年比101・9%と安定した動きにある。パウダーフリーは110・0%と堅調に推移し、構成比も41・7%と3・1ポイント上昇した。一昨年より合成ゴム手袋が新たに区分計上されたが、10年の実績は511万1000双で前年比108・7%、構成比は7・1%となった。 歯科用手袋(ペアタイプ)は986万9000双で前年比163・4%となったが、統計の取り方の変更もあり若干過年度との連続性に欠けると思われる。市場規模の増加ではなく概ね市場実態と見ているが、ここ数年の歯科医院での使用実態から見ても漸減傾向が続いていると推測される。
 検査・検診用手袋は6億5464万2000枚、前年比87・1%となった。
 なお、検査・検診用手袋においては会員外の取扱業者が主であり、従来その国内流通量を推計加算した合計値を発表していたが、医療機器、JIS規格外の製品が市場に流通している実情の中で、JIS規格の主体である医療部会としては今後医療機器としての取扱量を明確にしていく予定であり、そのためにもまずは今回から部会加盟各社の販売数量の集計としている。
 改めて各医療機関へJIS規格の周知徹底をはかり、医療機器として適した製品の使用を促すと共に会員外の協力も求めていきたいとしている。(2011年6月6日紙面掲載)

 日本グローブ工業会 理事長インタビュー

 高品質・高付加価値を追求 認定マークの運用規定強化

望戸清彦理事長

望戸清彦理事長

 ゴム・ビニール手袋の需給動向、グローブ工業会の今年度の事業活動について日本グローブ工業会・望戸清彦理事長(三興化学工業㈱社長)に聞いた。

 2010年の手袋需給状況は望戸理事長 日本グローブ工業会加盟各社を取り巻く環境は原料ラテックスを中心に原材料の価格は過去最高水準まで高騰し、長引く不況や不安定な雇用情勢から経営に少なからず影響を受けた1年であった。
 全般的な販売数量は家庭用・作業用ともに昨年を上回り、順調に回復の傾向にありますがピーク時の数量には届いていないのが現状です。医療用については主力の手術用手袋が安定して推移しました。
 市場環境の変化は望戸理事長 市場では従来は汎用的に使われていた手袋が用途によって細分化され、「より専門的作業に適した手袋」が求められるようになりました。それに合わせて原材料もNR・PVC・合成ゴム・ポリエチレン等様々な種類が使われ、手袋の形状も加盟各社の努力で独創性のある素晴らしい商品が多く生み出されてきました。
 しかし、市場ではすぐに類似した安価な商品が台頭し、商品のライフサイクルを早める結果となっています。安全・安心な作業になくてはならない手袋が厳しい価格の洗礼を受けることは本質をも覆す事態ともなりません。
 今後の対応は望戸理事長 これからも私たちは高品質・高付加価値の追求を目指してまいります。新しいことに挑戦することはリスクを伴います。しかし、何も挑戦しないことがもっと大きなリスクではないでしょうか。それぞれの分野で特徴ある商品を市場に供給し、快適な作業環境には無くてはならない信頼されるメーカーとして取り組んでいくことが必要とされる時代と考えます。
 東日本大震災を受けて日本の企業の絆の大切さを痛感した。会員企業は競争会社ではあるが、共存を図りながら工業会全体で盛り上げていこうと思っています。
 今年度の事業計画は望戸理事長 基本的には前年度を踏襲するが、作業用手袋部会では、平成17年7月に制定した「作業用手袋認定マークの運用規定」のCat2に対応する適合試験はEN基準に基づいており、国内の試験機関では対応できないこともありかつ将来国際規格ISO制定を念頭においてJIS規格との整合性についても対応が必要との認識のもと、調査・検討を進めてきました。「工業会規格の機軸をJIS規格として、CEやその他の良い部分を工業会内規として取り入れ運用を行なう」案が基本的に承認され、今後規格直し、ホームページの活用方法、Cat3」の検討等ステップ追って推進していく。昨年、日本防護服研究会に法人会員として入会しましたが、今後作業用手袋認定マーク運用規格のJISとの整合性及び将来のISO対応への連携窓口として活用していきたい。
 医療用手袋ではISO/TC45国内審議委員会に入会したが、喫緊の課題としては検査・検診用手袋のISO改正提案を抱えている。また、今年度はJIS規格とAQL(合格品質水準)の啓蒙を図るため、日本手術医学会での併設展示を10月に予定している。(2011年6月6日紙面掲載)

 日本グローブ工業会総会 副理事長に北原氏選任

 日本グローブ工業会は5月19日、大津プリンスホテルで第46回通常総会を開催した。3月11日の東日本大震災の影響を受けて開催が延期となっていたもの。
 総会は平成22年度事業報告,収支決算報告、23年度事業計画案及び収支予算案を主要議題に審議、原案通り可決、承認された。
 活動状況では、ISO/TC45国内審議委員会入会と分科会への参画、使い捨て手術用ゴム手袋(JIS T 9107;2005)の形式補正、ISO1193ー2;2006検査・検診用ビニル手袋の改正提案などが報告された。手術用手袋の使用実態アンケート調査では、手袋に求める要素としてフィット感が年々増加しているほか、パウダーフリー化、二重装着が浸透していることが報告された。役員異動では改選期ではないが、副理事長に北原雅美エステートレーディング社長が選任された。(2011年6月6日紙面掲載)