【ホース特集】 グローバル化を推進  国内は震災復興に尽力

2012年04月02日

ゴムタイムス社

 グローバル化を推進  国内は震災復興に尽力

 11年の生産 自動車用は減少 高圧用は11%のプラスに

 2011年のゴム・樹脂ホース業界の動向は、主力の自動車用ホースが東日本大震災により部品サプライチェーン寸断による自動車生産の大幅な減産、また昨秋のタイにおける洪水により、多くの日系企業の水害による生産ストップなど厳しい環境が一年を通じて起こり、全体の生産量は3万5663㌧、前年比98・5%とマイナスとなった。出荷金額は1328億8600万円で同98・6%と生産量にスライドした。
 品種別生産実績をみると、自動車用は2万3661㌧、同93・5%と6%台の落ち込み。高圧用は東北地域でのがれき処理による建設機械の稼動台数の増加や外需では旺盛な中国市場での生産拡大などにより、生産量は4286㌧、同113・7%と1割超の伸び。空気用、酸素・アセチレン用、送水・吸水用などのその他用は7716㌧、同108・4%と堅調に推移した。
 日本経済は景気持ち直しの足踏み状態が続いており、震災やタイの洪水による供給制約が解消した反面、欧州の債務危機や円高を背景に輸出製品が鈍っている。
 ゴム・樹脂ホース業界においては、今後の実体経済の回復をバネに、需要業界への対応をいかに図るかが課題になりそう。原材料高、円高など厳しい経営環境が予想される中、適正な価格体系の維持やグローバル展開の強化、国内では付加価値商品の開発による需要喚起が求められる。
 なお、日本ゴムホース工業会では2012年のゴムホース生産量予測について、生産量(新ゴム量)は3万9140㌧、前年比109・8%と1割近い伸び、出荷金額は1460億円、同109・9%を見込んでいる。
 日本ホース金具工業会がまとめた2011年のホース金具アセンブリ需給実績は、産業用ゴムホースが全体で427億4200万円、前年比118%、自動車用ゴムホースは126億2400万円、同86%、樹脂ホースは65億900万円、同118%で、自動車用のみ前年実績を下回ったが、それ以外は順調な伸びを示し、付属金具販売(52億1700万円、同110%)を含めた全体では670億9200万円、同110%と1割伸長となった。市場別では国内が610億800万円、同110%、輸出は60億8400万円、同103%。  建設機械生産の12年度予測は前年度比10%増の2兆2366億円で、国内は6058億円、同11%増、輸出は1兆6308億円、同9%増と内外需ともにプラスが見込まれている。国内は震災の復興需要を柱とした政府の建設投資の増加、輸出は新興国、資源開発国向けの旺盛な需要に支えられると予想された。
 一方、樹脂ホースの生産統計はまとめられていないが、日本ビニルホース工業会の会員企業を対象としたアンケート調査の結果では、2011年度のサクション・ダクトホース生産はリーマンショック以前の2007年を指数100とした比較で、サクションホースは105、ダクトホースは100となっており、ほぼリーマンショック以前の水準に戻っているようだ。前年対比では、汎用ダクトは横ばい、オーダーの組み込み品は住宅用で伸びたほか、原発関連の復旧需要が伸びた。
 耐圧ビニルホースの2011年の出荷については、同工業会の統計データによると、ガーデンホースは4213㌧、透明・その他工業用ホースは1万244㌧が見込まれ、07年との対比ではガーデンホースが88、透明・その他ホースは83の水準。(2012年4月2日紙面掲載)

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