【ゴムシート特集】 十川ゴム 今期は3%増を予測

2012年03月26日

ゴムタイムス社

 「CPL―100E」 環境対応商品の拡販図る

 ㈱十川ゴムの今期のゴムシート事業は、東日本大震災・原発事故・タイ洪水や欧州金融不安など、様々な影響のある事象が多発した中で、販売は品種・地域などにより、著しい増減があった。しかしながら、現時点における今期予測は、前年対比3%アップ程度を見込んでいる。
数値的に前年比プラスながら、数年前のベースと比べると、低レベルにあるという。
 従来の汎用シートの伸びを期待するのは当面難しいと考えているが、反面、特殊シートの要望は増加しており、これに伴い、細かな配慮と気遣いをもの造りに反映させ、情報入手と技術力のアップを目指している。
 2012年度のゴムシート事業の展望は、上期は今期平均レベル、下期において今期より増加を見込んでいる。
注力商品としては、第一に環境対応製品を考えている。関連製品としてはエコマットなど再生材料を使用したエコマーク認定製品を既に販売しているが、これに加えREACH規制およびRoHS指令追加候補9物質の一つであるDEHP(フタル酸ジ―2―エチルヘキシル)の削除、代替品の置換に成功したラバーシート「CPL―100E」の上市である。
CRとNBRの持つ両者の優れた特性を兼ね備えた「CNRスーパー5(CPL―100)」は、生産開始以来約25年になる。同社は近年の環境変化を考慮し、この「CPL―100」を環境対応型として、新しく「CPL―100E」グレードを完成させ、標準在庫販売することににした。
 十川ゴムでは、環境に配慮した新製品の開発や環境負荷低減に関与することが、企業としての社会的責務と考えており、環境対応型「CPL―100E」の販売に続き、更に環境配慮型製品の開発に注力していく方針。このほか、列車用低発煙難燃シートや熱膨張シートをはじめ、汎用シートにない特殊配合シートも顧客要望に基づいて小ロット生産を行うなど、小回りを利かせた生産体制の確立を図る。(2012年2月20日紙面掲載)

 下期の需要回復に期待 環境負荷削減を積極展開へ

 ㈱十川ゴムの2011年第1四半期業績は、震災影響により一部復興関連製品などの需要があったものの、自動車関連製品の落ち込みが大きく、売上高は前年同期比で多少の減収となった。
 シート需要については、現在は非常に荷動きの悪い状況となっているという。しかしながら、下期に向けてはいくらか回復するものと予想し、通期では前期実績を上回ると予想している。
 こうした中で、全社的な通期業績見込みについては、自動車関係が回復してきていることに加え、下期は復興に伴う製品の動きも徐々に出てくる兆しも見えてきており、年度計画を達成できるものと予想している。
 シート事業は、原価に占める原材料ウェイトが大きく、そのため原材料価格動向が大きく影響する。そのため現状の経済情勢が非常に厳しいことを心に置き、常に原価低減に努めながらも原材料価格動向には十分注意し、最低限継続して生産できる適性な価格による販売を心がける必要があると指摘する。
 新製品開発については「世の中の激しい情勢変化の中で、シート関係の要望も日々変化してきている。顧客の必要な機能を常に先駆けて開発を進める必要性が今後さらに重要度が増してくると思われる。従って、素早い情報入手と素早い開発着手、そして素早い開発品の上市に努める」(同社)としている。
 今後避けて通れない環境負荷削減については、国内のみならず世界的規模で活発化してきており、こうした流れの中でシート製品を提供するメーカーとして、これらの基準に基づく製品造りおよび分析技術を高めていくことが使命と考えている。
 主なものにRoHS、REACH規制がある。RoHSは06年7月1日以降、EU加盟国内において電気・電子機器における6物質の特定有害物質の使用制限指令を定めたものであるが、更に08年6月に追加候補案の9物質のリストが出されている。
 十川ゴムでは、汎用シートは6物質の特定有害物質の使用制限指令をクリアしており、更に追加候補の9物質に関する削減にも努めている。加えて、REACH規制についてもクリアする製品開発を現時点で既に完了しているという。
 REACH規制は07年6月からスタートした欧州での化学物質の総合的な登録、評価、認可、制限の制度。発ガン性、変異原性、生殖毒性に関連する難分解性、蓄積性など、人の健康や環境への影響が大きいとされる46物質が公表されている。更に12年までには106物質(群)、20年までに500物質(群)となる予定。
 こうした高懸念物質(SVHC)についての材料切り替えを進めるとともに、使用化学物質の登録をメーカーとして事前に行う必要もあり、また化学物質の情報を供給者が川下使用者に伝達しなければならない。
 十川ゴムでは合成の主要品番「CPL―100(CR・NBR兼用素材)」に関して最も困難と思われる物質であるDEHPの削除、代替品の置き換えに成功。12年度には「新CPL―100」(=仮称)として、特別グレードとして在庫販売を行う予定。
 同社では「環境対策にはゴールはなく、他の素材への展開や更なる各国の規制変化に対応すべく素材開発に今後も注力していく」としている。(2011年9月12日紙面掲載)

RoHS指令規定値をクリアするシート

RoHS指令規定値をクリアするシート

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー