横浜ゴム 3ヵ年計画発表 1400億円投資で年産8600万本に拡大

2012年02月15日

ゴムタイムス社

  横浜ゴム㈱は中期経営計画「グランドデザイン100(GD100)」の第3ステップとして、今年1月からフェーズⅢをスタートさせた。

 フェーズⅢは2012年度から3年間の経営計画で、3年間累計で売上高1兆8000億円、営業利益1500億円、営業利益率8・3%を目標に掲げた。3年後の2014年度は売上高6300億円、営業利益600億円、営業利益率9・5%をめざす。なお、「GD100」は当初、2017年度に売上高1兆円、営業利益1000億円、営業利益率10%を目標としていたが、外部環境の悪化を受けて売上高1兆円の達成は2019年から2020年の間となる見込み。営業利益は当初目標どおり2017年度、営業利益率は前倒しで達成する計画だという。
 現在の外部環境は、欧州債務危機による欧州信用不安の新興国を含めた世界経済への波及が懸念されるが、新興国では中期的には景気回復と成長の継続が期待される。日本においては円高の継続による輸出低迷、消費税増税による内需低迷が懸念される一方、震災復興需要によるGDPの押し上げ効果も予測される。こうした外部環境を踏まえ、フェーズⅢのテーマは、これまで築いてきた筋肉質な体質のさらなる強化と、事業環境の変化やリスクに耐えうるしなやかさを狙いとし、「強くしなやかな成長」を掲げることとした。
 成長の牽引役となるタイヤ事業では、ロシア、中国、フィリピン、タイを中心に3年間で年産約700万本の増産を行う。これにより、年間生産能力を11年度末の5900万本から14年度には6600万本まで高める。また、フェーズⅢの期間に総額1400億円の新規増産投資を実施し、年産2000万本強の生産能力拡充を行う。これにより、17年度までに年間生産能力を8600万本まで拡大する。新設工場は中国第3工場、インド新工場、北米新工場、中南米新工場を検討している。12年度の設備投資額は前年比倍増以上の551億円を計画している。グローバル市場における独自の存在感の確立、大規模な生産能力の増強、高付加価値商品のグローバル展開を進める。

 MB事業では優位性のある「運ぶ」「くっつける」「やわらげる」の3つのコア技術から新たなナンバーワン商品の開発、新規ビジネスチャンスの創出に取り組む。
 技術戦略では、横浜ゴムのグローバルコンセプト「BluEarth(ブルーアース)」のテーマに則り、環境性能だけでなく、人、社会への負荷低減にも貢献する技術の開発を進める。また、先端的な外部研究機関との連携による高機能タイヤ技術の確立や「良いモノを、安く、タイムリーに」をさらに徹底するための技術開発に力を入れる。
 経営面では、基盤強化とCSRへの取り組み強化を図る。基盤強化では2006年から取り組んできた「ムダ取り活動」は6年間で合計515億円のコスト削減を達成。
従来の活動に加え、トップダウンの「重要課題特別プロジェクト」を立ち上げ、さらなる「ムダ取り」を進める。CSR活動ではSR(社会的責任)の国際規格であるISO26000に基づいて設定した7つの重点課題に沿った活動を進めていく。
 「GD100」は、創業100周年に当たる2017年度に「企業価値・市場地位において、独自の存在感を持つグローバルカンパニー」になることを目指して2006年度からスタートした経営計画。3年度ごとに4つのフェーズに区分し、各フェーズで基本方針、事業戦略、財務目標を決定して目標達成に取り組んでいる。

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