三菱樹脂 フレキシブル太陽電池向けフロントシートを開発

2012年01月31日

ゴムタイムス社

 三菱樹脂(株)(本社東京都中央区 吉田宏社長)は、フレキシブル太陽電池に不可欠となる10−4(g/m・日)レベルの水蒸気バリア性能を有するフロントシートを今般開発するとともに、商業生産レベルの供給体制を確立した。既にグローバルソーラーエナジー社(米国アリゾナ州)のCIGS系フレキシブル太陽電池のフロントシートとして採用されており、2012年から本格供給を開始する。

 太陽電池市場は、2015年までに結晶シリコン型を中心に440〜50ギガワット(GW)まで拡大することが予想されている。その内、軽量で施工が容易なフレキシブル太陽電池は、2012年から市場が本格的に立ち上がり、2015年までには全体の5%まで市場が拡大する見込みとなっている。特にCIGS系などの化合物半導体系フレキシブル太陽電池は、材料コストが比較的安価であることに加え、変換効率(現在は約13%)のさらなる向上が見込まれており、フレキシブル太陽電池市場拡大における中心的役割を担うことが期待されている。しかし、この化合物半導体系フレキシブル太陽電池には、その発電効率の低下を防ぐために世界最高水準となる10−4レベルの水蒸気バリア性能を有するフロントシートが不可欠であり、それが市場拡大の課題となっている。

 同社は、結晶シリコン型太陽電池のバックシートに広く使用されているガスバリアフィルムの生産技術を応用し、2008年に10−4レベルの水蒸気バリア性能を有した超ハイガスバリアフィルムの技術確立に成功。そして、その商業レベルでの量産を実現するべく、約20億円を投じ、2011年に筑波工場(茨城県牛久市)内にその製造設備を設置し、本格供給体制の確立を進めてきた。また同時に、化合物半導体フレキシブル太陽電池の市場拡大に欠かせない10−4レベルのフロントシートの開発も進めてきていた。そして、今般、そのフロントシートがグローバルソーラーエナジー社のCIGS系フレキシブル太陽電池「Power Flex」に本格採用されるなど、その商品化を実現した。開発したフロントシートは、バリアフィルムを中心に3〜4層で構成されており、優れた水蒸気バリア性能のみならず、耐候性や紫外線吸収性、難燃性、接着性など、フロントシートに必要とされる各種機能を有している。

 同社は、10−4レベルの超ハイガスバリアフィルムを広幅(最大1300mm)で量産可能(生産能力1800万㎡/年)な、世界で唯一とも言える製造設備を最大限に活用し、フレキシブル太陽電池の市場拡大を進めていく。また、三菱ケミカルホールディングスグループの一員として、有機薄膜太陽電池の事業化を推進する三菱化学社との連携も深め、封止材やバックシート用フィルムなども含めた太陽電池部材の積極的な事業拡大に取り組んでいく。

グローバルソーラーエナジー社のCIGS系フレキシブル太陽電池「Power Flex」

グローバルソーラーエナジー社のCIGS系フレキシブル太陽電池「Power Flex」

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