合成ゴム、ゴム薬にタイト感 急がれる鹿島コンビナートの復旧

2011年03月28日

ゴムタイムス社

 東日本大地震の発生により合成ゴムをはじめとする化学関連産業の多くが自動停止装置の作動で生産ラインが停止した。  〈JSR〉
 合成ゴムを生産するJSRの鹿島工場(茨城県神栖市)は、3月25日現在、蒸気等のユーティリティの停止状態が続いており、操業を全面停止している。同 社では鹿島工場の停止期間が長引く場合は、特に、EP(エチレンプロピレンゴム)については震災以前から製品需給はタイトな状況にあり、在庫が低いレベル にあったことから、4月中旬から供給に支障をきたす可能性があるとしている。また、ファイン製品については、震災直後は一時、原材料確保に関わる懸念や交 通網の寸断などによる輸送事情の混乱がおきたが、製品供給には影響が及ばないよう状況は改善されつつあるという。 船積みバースの設備や倉庫設備等に被害が発生したが、製品出荷は、3月17日より一部製品につき再開している 今後の操業については、鹿島地区コンビナートの全般的な回復までに点検作業を進め、被害の出た設備の修復に努め、立ち上げ準備を進めていくとしている。 千葉工場(千葉県市原市)は製造設備被害の発生はなく、現状においては問題なく稼動。一部製品については、原料等の入手に関し制約を受け、生産に支障をきたすおそれがあるとしている。

 〈日本ゼオン〉
 日本ゼオンは従業員についての人的被害、保有する資産および設備への被害が発生していないことを確認。製品供給については「生産設備に被害は発生してい ないが、電力や原材料の供給状況により、当面の期間、生産活動に支障を生じる可能性がある。また、道路・配送の全般的な影響 により、一部地域への製品の出荷に支障を生じる可能性がある」としている。

 〈三井化学〉
 三井化学は鹿島工場(茨城県神栖市)において地震発生後より、ウレタン原料等全てのプラントの運転を停止中。津波による冠水の被害状況等の詳細を確認の上、復旧に取り組んでいる。市原工場(千葉県市原市)のエチレンプラントは、通常通り稼働。

 〈住友化学〉
 住友化学の千葉工場(千葉県市原市・袖ヶ浦市)の主要設備であるエチレンプラントは、負荷を調整しながら稼動を継続。主な誘導品プラントについては、地 震発生時に自動停止および緊急停止処置をとったが製造設備に大きな被害はない。安全が確認できたプラントから順次再稼動の作業を行っており、これまでにほ とんどの製造設備で操業を再開した。

 〈クラレ〉
 クラレの「鹿島事業所(茨城県神栖市)」は地震による影響により操業を停止した。設備面の被害については鋭意調査中で、復旧に向けて全力で取り組んでいる。

 〈電気化学工業〉
 電気化学工業は一部事業所で軽微な損傷はあったが、製造設備への大きな被害はない。地震発生に伴い緊急停止した設備、ならびに電力会社からの電力供給中断などにより停止した設備については点検作業で安全が確認できたものから、順次再稼動すべく作業中。

 〈信越化学工業〉
 信越化学工業は鹿島工場(茨城県神栖市)、および信越半導体白河工場(福島県西郷村)の2工場が操業を全面停止している。白河工場以外の信越半導体グループの工場での生産体制を改めて整備し、対応していくとしている。 鹿島工場は原料の供給についても復旧に時間がかかる見込み。

 〈東海カーボン〉
 東海カーボンは同社の石巻工場(宮城県石巻市)ならびに同社子会社である東海高熱工業株式会社の仙台工場の設備に被害が発生。

 〈大内新興化学工業〉
 大内新興化学工業は有機ゴム薬を生産する原町工場(福島県南相馬市)、 須賀川工場(福島県須賀川市)の両工場とも復旧の目途が立っていない。 原町工場は福島第一原子力発電所の避難命令区域に指定されたため、状況を確認できない状況。須賀川工場は従業員の生命第一に、状況を確認している。

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