新春トップインタビュー 十川ゴム

2012年02月03日

ゴムタイムス社

十川ゴム 十川 利男社長 -2012年1月1日号掲載-

中国工場では生産能力増強へ

省人化設備導入で積極投資 環境対応の新規開発製品拡大

 原価低減への注力、不採算品種の見直し、環境対応型の新規開発製品の拡大が課題とする十川ゴムの十川利男社長。12年の経営課題、事業戦略を聞いた。

 ―11年を振り返って。
 十川社長 3月の震災直後の津波被害をリアルタイムで目の当たりにし、リーマンショックより悪い状態になると思った。その後の円高、タイ洪水、欧州の金融不安と大変な時期を乗り切るためにがんばった1年であったと思う。自動車の減産により4月~6月までは大きくダウンしたが、復興需要で型物製品の標準品が出荷され、上期をカバーした。下期は自動車生産も元に戻り、復興に関する土木・住宅用の生産財需要に期待したが、思ったほどではなかった。
 震災、タイ洪水でリスク管理の観点から、サプライチェーンの寸断などにより、工場の分散化や、原材料の1社購買から複数購買への動きが加速した。
 原材料価格高騰に対応し、3月の震災前に天然ゴム板を中心に値上げを発表したが、各社苦労しながら動いた。合成ゴムの価格高騰に対応した値上げは困難であり、原価低減に注力、材料、設計変更、海外の原料調達への置き替えで対応した。 円高によりユーザーの、海外生産拠点へのシフトが進み、国内空洞化が生まれ、生産活動がシュリンクすると当社にとっても影響が出る。
 ―2011年度の業績見込みは。 
 十川社長 上期売上高は自動車用が落ち込んだが、復興需要でカバーし前年同期比微増、経常利益は前年同期並を確保した。下期に入り自動車生産の回復とともに自動車用部品の需要が戻ってきたが、震災の本格的な復興需要は来期とみている。通期では昨年実績を少し上回るとみており、経常利益は原価低減策で前期並に持ち込みたい。自動車の減産で自動車用ホース(ヒューエルホース)の受注が3割落ち込んだが6月に入り自動車用がやや持ち直したものの、逆に汎用ゴムシートがダウンし、4~6月期は計画に対し4~5%減にとどまった。自動車生産の本格稼働や建設機械用ホース、住宅設備用の水回りパッキン、ガス関連製品の復興需要が拡大し押し上げた。この結果、上期売上高は68億6000万円、前期比1・8%減となり、通期での売上高は年間目標の143億円、経常利益3億5000万円を見込んでいる。
 ―海外事業戦略は。

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