日本自動車タイヤ協会 年頭所感 中倉健二会長

2012年01月01日

ゴムタイムス社

 昨年は3月11日に発生した東日本大震災の影響により、日本経済は深刻なダメージを受け、種済成長率はマイナス成長となる見込みとなっております。また、海外でも日系企業が、タイで洪水の被害にあう等、自然災害に見舞われた厳しい年となりました。
 大震災直後、生産・輸出を中心に大きく落ち込んだ日本経済は、図・日治体や企業等による復旧・復興の取組みによって、緩やかな回復傾向に復していると思われます。
 しかしながら、記録的な円高を始め、ギリシャの金融危機に端を発した欧州の金融問題等が、日本経済にまで影響を及ぼし、より一層の不透明感を増しております。
 こうした環境のもと、自動車タイヤの生産量は118万トン(前年比101%)と2010年に比べ微増となる見込みであります。
 -方、円高の進行・定着を始め、原油価格の高止まりや原材料価格の高騰等、タイヤ産業にと
っても、楽観を許されない状況が続くものと思われます。
 JATMAと致しましては、昨年4月1日に一般社団法人に移行し、従前の公益法人に課せられた業務と共に、より一層の役割を果たしていくことが肝要と考えております。
 具体的には、地球温暖化対策の一環として、タイヤ使用段階でのCO2削減の為、消費者のタイヤ選択に分かり易いタイヤラベリング制度を2010年より導入し、タイヤ転がり抵抗とウェットグリップの性能に関する表示を実施、その結果、所謂低燃費タイヤの普及が進み、同年末迄に市販用夏用タイヤの2割強を占めるに至りました。今後とも低燃費タイヤのより一層の普及促進に取り組んでいく所存です。
 これに加え、従前にも増して空気圧管理の重要性を啓発することにより、環境と安全の両立を目指し努力していきたいと考えております。
 もう一方の環境対策であります3R推進については、4月1日に改正された廃棄物処理法を考慮しながら、廃タイヤの適正処理、メーカー主導型による実態に即した適性処理システムの運用や、不法投棄等の廃タイヤに対する原状回復支援制度の更なる促進に意を用いていきたいと考えております。また、震災により発生した約150万本~200万本と言われる被災タイヤにつきましても、自治体等からの要請に応じ適正処理に協力する所存です。
 安全対策においては、国連UN/ECEで検討中のタイヤ統一基準の推進や、国内でも検討されているタイヤ道路騒音についても、諸外国との整合を考慮し、関係省庁・関連業界との連携が重要と考えております。また、中国・インドを含めたアジアのタイヤ統一基準に向けたタイヤ業界
の役割についても関係省庁と連携の上、進めていく所存です。
 最後になりましたが、タイヤ産業に携わる皆様方にとって、良い年となりますよう祈念して年頭の挨拶とさせていただきます。

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