窒化珪素基板など能増へ デンカ、80億円投資

2019年01月21日

ゴムタイムス社

 デンカは1月21日、窒化珪素セラミックス基板と球状アルミナの生産能力を増強すると発表した。投資総額は約80億円で、グローバルに普及が進む電気自動車などの環境対応車を中心とした放熱材料市場を強力に牽引していくことにしている。

 セラミックス基板については、福岡県にある大牟田工場で、建屋新設、焼成炉、加工機などに約40億円を投じ、2020年下期までに現在の約3倍の生産体制の構築を計画している。

 球状アルミナについては、シンガポールのデンカアドバンテック社に、製造設備や倉庫などに約40億円を投じ、2021年上期までに現在の約5倍の生産能力への増強を図る。

 同社は、経営計画「Denka Value―Up」で2022年度の営業利益に占めるスペシャリティー化率90%を目標に掲げている。今後も将来需要に対応した投資を迅速に行い、重点分野のひとつである環境・エネルギー分野のさらなる成長を目指している。

 セラミックス基板では、同社は約30年にわたり、原料粉からの一貫生産を行うとともに、窒化珪素基板から窒化アルミニウム基板、金属基板にわたる幅広い製品ラインアップにより、顧客の多様なニーズに合致したソリューションを提供している。特に近年では、環境対応車向けモーター駆動用パワーモジュールに使用される絶縁放熱部品として、放熱特性と熱サイクル信頼性に優れた高機能窒化珪素セラミックス基板の需要が拡大している。今回の能増では、窒化珪素セラミックス基板の前工程に最先端の自動化プロセスを導入する予定。

 球状アルミナは、今後、環境対応車の基幹部材であるリチウムイオンバッテリーや各種制御装置向けの熱対策ニーズの高まりのほか、半導体などの各種デバイスの高機能化により、需要は今後一層拡大する見通しとなっている。現在同製品は大牟田工場で製造しており、今回、シンガポールに生産設備を増設することにより、生産拠点の分散によるBCPを確立することにしている。

 

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