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2018年ゴム業界の10大ニュース 人手不足が深刻化

2018年12月07日

ゴムタイムス社


 2018年のゴム業界をめぐる事業環境は、天然ゴム価格や原油・ナフサ価格の高騰などにより、年間を通して製品価格の値上げが続いた。需要状況としては、国内は自動車タイヤの需要が順調に推移しているだけでなく、設備投資も旺盛なことから比較的良好だった。海外では欧米、アジア共に経済は堅調に推移したものの、中国では米国との貿易摩擦の影響から減速感も見られ始めるなど、先行き不透明な状況が続いた。

①ゴム関連企業で人手不足が深刻化
 ゴム関連企業で人手不足が深刻化している。日本ゴム工業会の労務委員会が公表した雇用状況調査によると、「労働力が不足している」の回答数が80社中65社となり、回答した企業の81・3%に上った。昨年の83・7%に比べ、やや改善しているものの、8割以上の企業が人手不足に悩む傾向が続いている。
 過去10年の調査結果を振り返ると、リーマンショック後の2009年には労働力が不足していると回答したのは25・5%。その後、右肩上がりで増え続け、2014年に50%を超え、昨年80%を超えた。人手不足が年々深刻さを増していることが浮き彫りとなっている。
 本紙が実施したゴム商社に対してのアンケートでも、賃上げを実施した企業は93%と大半を占めており、人手不足の深刻化を背景に人材確保・維持の目的で賃上げを実施する企業が多いことが推察される結果となった。
 また、大手ゴム企業では自動化・省力化投資に舵を切る方向が明確化している。生産性向上に前向きに取り組み、人件費上昇や人手不足を乗り越えようとするゴム企業の動きは今後さらに加速しそうだ。

②上場ゴム企業の18年3月期は22社中21社が増収に

 JSR・日本ゼオンの合成ゴム大手2社を含む主要上場ゴム企業22社の18年3月期決算は、世界経済の回復基調を背景に、増収企業が前年同期の10社(45%)から21社(95%)へ大幅に増加した。一方、利益面は原材料コスト増加などが利益圧迫要因となったこともあり、営業増益企業数は15社(68%)から11社(50%)に減少した。
 売上高は、日東化工を除いた21社が増収となり、増収企業は前期に比べて11社増えた。米国や中国、東南アジアなど海外事業が好調だったことや、18年初まで為替が円安基調で推移したことで増収となる企業が多かった。
 22社合計の売上高は3兆5237億6000万円で同一企業との前年同期比6・8%増、営業利益は2405億1000万円で10・2%増、経常利益は2620億6100万円で同11・7%増、当期純利益は同6・5%増となった。
 営業利益については、増益企業数が前期から4社減った。販売自体は伸びているものの、原材料であるナフサ・ブタジエン・天然ゴム・合成ゴムの価格が上昇基調にあったことが利益を押し下げる要因になったと見られる。

③原材料の値上げが更に続く
 原油・ナフサ価格、物流コストや電力料金などのユーティリティコストの上昇により、原材料メーカーでは値上げが相次いだ。さらには、アジア市場での需要増による需給のタイトさも加わり、再値上げ、あるいは値上げ幅を修正する企業もあった。
本紙が把握している限りでは、旭化成ワッカーシリコーン、信越化学工業、昭和電工、デンカ、住友化学、東ソー、カネカ、東海カーボン、大阪ソーダ、クラレ、旭化成、ポリプラスチックス、宇部興産、クレイトンポリマージャパン、ダウ・ケミカル日本などが実施した。
 ゴムシートでは、十川ゴム、タイガースポリマー、クレハエラストマー、入間川ゴム、日東化工、オーサカゴムなどが実施、原材料の使用量が多く、物流コストも大きい厚物のゴムシートは、採算が一層厳しくなっている。

④合成ゴム・ポリマーの新工場が増加

 日本ゼオンはアクリルゴムの製造および販売事業を展開する子会社「ゼオン・ケミカルズ・アジア」(仮称)をタイに設立すると発表した。パワートレインの電動化が進む一方、世界の内燃機関搭載車の伸びとターボ搭載車比率の高まりによって、アジア地域を中心にアクリルゴムの需要増が見込まれる。アクリルゴムの需要増を着実に取り込むことによって、合成ゴム事業の強化を目指す。
 三井化学は同社グループの米国の製造拠点であるアドバンスド・コンポジット・オハイオ工場内にオレフィン系熱可塑性エラストマー「ミラストマー」の生産設備を新設する。ミラストマーは、北米などで自動車の内装表皮用途の需要拡大が見込まれている。
 クラレはPTT・グローバル・ケミカル・パブリック・カンパニー(GC)と住友商事との共同出資により、タイでブタジエン誘導品の製造・販売を行う合弁会社「クラレGCアドバンスド・マテリアルズ」を設立した。高耐熱性ポリアミド樹脂PA9T、水素添加スチレン系熱可塑性エラストマーの製造販売を行う。
 
⑤東洋ゴム工業が三菱商事と資本業務提携 
 東洋ゴム工業は、三菱商事と資本業務提携を締結した。三菱商事は東洋ゴムが実施する第三者割当増資を引き受け、出資比率を現在の3・05%から20%に引き上げ筆頭株主になる。東洋ゴムは増資で得る資金を新生産拠点の建設や米国・マレーシア工場の生産能力増強に充てる方針で、海外タイヤ事業のさらなる強化を図る。今回の業務提携により、両社は販売力強化、技術力強化、リソース強化の各テーマで協働することに合意しており、今後は協力体制を強化してシナジー効果の最大化に取り組んでいく。提携内容に関しては、まず販売力では、地域別(日本、中国、欧州、中東・アフリカ、アジア)に三菱商事と共同タスクフォースを立ち上げ、三菱商事グループのグローバルネットワークを活用し、販路開拓や営業強化、物流強化、オペレーション強化等の施策に取り組んでいく。
 また、同社は2019年1月1日をもって、社名を「TOYO TIRE」に変更すると発表した。社名変更を契機として、改めてモビリティ分野のビジネスに携わる「誇り」と「責任」を持ち、グローバルにTOYO TIREを本物のブランドにしていく「覚悟」を示すことで、自らの社会的責任と存在意義を追求するとともに、企業価値のいっそうの向上を図っていく方針。

 
⑥タイヤメーカー材料開発を活発化 
 タイヤメーカーの材料開発が活発化している。
 横浜ゴムは理化学研究所、日本ゼオンとの共同研究により、バイオマス(生物資源)から効率的にイソプレンを生成する世界初の新技術を開発した。新技術は世界初となる新しい人工経路の構築と高活性酵素の作成により、優れたイソプレン生成能を持つ細胞を創製、この細胞内で出発原料であるバイオマス(糖)からイソプレン生成まで一貫して行うことに成功した。さらに、生成したイソプレンを

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