第15回日本ゴム工業会 幹事会詳報

2018年11月09日

ゴムタイムス社

会員の経営指数調査発表 第15回幹事会を大阪で開催

 日本ゴム工業会は10月26日、大阪市のホテル阪急インターナショナルで第15回幹事会を開催し、ゴム製品の生産・輸出入概況や昨年度の会員企業の経営指数調査結果などを発表した。

 幹事会の冒頭、あいさつに立った池田育嗣会長は「昨年のゴム製品生産は、わずかだが6年ぶりの増加となり、本年も前半は昨年を上回る勢いを持続している。経営指数調査でも、これまでの停滞状態からプラスに転じると回答した企業が増えている一方、新興国を中心とした経済減速など先行きに不透明感を増してきている」と業界を取り巻く現況について説明した後、当面の課題については「生産設備の老朽化、原材料価格の高騰、人材の確保、人件費の増加、熟練技術者の確保」などを上位の課題として挙げ、「経済が不透明さを増す中で、対応しなければならない事項が山積しているが、足元をしっかりと見据えて、柔軟に対応できるように備えていくことが重要だ。当会としても、感度を高め、皆様の備えの参考となるような情報の提供や活動をを行っていきたい」と述べた。

 続いて、事務局から、ゴム製品の生産・輸出入概況や会員企業の経営指数調査、VOC排出削減に関する自主行動計画のフォローアップ結果、CO2削減に関するフォローアップ結果、ISO/TC45国内審議委員会関係事項などが報告された。

 経営関係事項
 企業業績 経常利益15%増

 2017年度会員企業経営指数調査は、1967年に開始され、今回は今年6月に実施。会員企業103社を対象とし、このうち回答した75社の結果を集計した。

 75社の業種別内訳は自動車タイヤ4社、工業用品46社、はきもの5社、その他20社で、企業規模別内訳は、従業員数3000人以上が5社、1000~2999人が6社、300~999人が22社、100~299人が23社、99人以下が19社という内訳。中小企業基本法の定義による規模別では、大企業が25社、中小企業が50社となっている。中小企業比率は67%。

 調査項目としては、回答企業単体の17年度決算数値を対象として、収益性、資本構成、生産性に関する11種目の指数を集計。増収企業は55社(73%)、減収企業は20社(27%)となり、増益企業は44社(59%)、減益企業は31社(41%)。

 75社トータルの売上高は、3兆4361億円で前年度比5・2%増。業種別の売上高は、自動車タイヤ(4社)が1兆8699億円で同6・2%増、工業用品(46社)は1兆1212億円で同4・3%増、はきもの(5社)は389億円で同1・3%減、その他(20社)は4062億円で同3・9%増となっており、はきもの以外の業種が上昇した。

 経常利益は、トータルで4427億円となり、同14・7%増。業種別では、自動車タイヤが3285億円で同13・2%増、工業用品は884億円で同31・6%増、はきもの12億円で同3・2%増、その他は247億円で同10・5%減。自動車タイヤと工業用品が2桁増となった。

 売上高経常利益率は、総平均が12・9%で同1・1pt上昇。業種別では、自動車タイヤが17・6%で同1・1pt上昇、工業用品が7・9%で同1・7%pt上昇、はきものが3・0%で同0・1pt上昇、その他が6・1%で同0・9pt低下した。

 環境関係事項
 VOC排出量 23社が目標達成

 VOC排出削減に関する自主行動計画のフォローアップ結果については、2017年のVOC排出量は、6929tと2000年度比68・8%の削減となり、目標を18・8ポイント上回った。

 2017年度の目標を達成した会社は23社(前年度比1社減)で、原単位指数は2000年度比34・4となり改善している。これは、各社が取り組んだ使用量の削減、溶剤の転換・水性化、溶剤の回収・再利用、使用方法の工夫などの努力の結果で、今後も排出量や原単位の削減努力を続けることにしている。

 CO2削減に関するフォローアップ結果については、CO2排出原単位は、2005年度比90・9%となった。

 2017年度は生産量が基準年度比80・2%(124・1万t、前年度比101・0%)と固定エネルギー分の影響が大きくなっているが、前年度比では微増となり、省エネルギー推進、エネルギー転換、コジェネ運転による買電量削減などにより、CO2排出原単位は前年度比マイナス2・5%と2年連続で改善した。

 資材関係事項
 ブタジエン価格 上昇幅が縮小

〈原油・ナフサ価格の推移〉
 資材関係の動向については、10月15日現在のデータが開示された。

 原油相場は、OPEC等による協調減産を背景に、2017年11月にドバイ原油が、18年1月にはWTIが60ドルを超える水準まで上昇した。その後、中東における地政学リスクの高まりを背景に、5月にかけて70ドル台まで上昇。9月以降は米国の対イラン経済制裁再開などを背景に、ドバイ原油が80ドルを超えるなど一段の上昇を示すが、足元では世界同時株安、米原油在庫の増加等を受け下落している。

 ナフサ価格は、原油価格に連れて、オープンスペック価格が5月に5万1900円、輸入ナフサ価格が7月に5万1515円と5万円を超える水準まで上昇した。足元では、オープンスペックが5万7200円とさらに大きく上昇しており、国産ナフサ価格も18年第3四半期に5万3000円前後まで上昇すると予想されている。

〈アジアブタジエン市況〉
 ブタジエンのアジア市況は、2017年12月以降、原油相場に連れて上昇を続け、18年8月に1740ドルと直近ピークをつけたが、その後、米中貿易摩擦や世界同時株安などを背景に、10月は1225ドルと大幅に下落しており、足元では1100ドル台の水準で推移している。年平均では、16年の1184ドルに対して、17年は1523ドルとドルベースで+339ドル/t、円換算で+42円/kgであったが、18年は1494ドルとドルベースで+310ドル/t、円ベースで+35円/kgとなり、上昇幅は縮小している。

 天然ゴムの需給状況については、米中貿易摩擦に伴う中国需要の低迷を背景に、2018年6月以降下落傾向を示しており、10月は先限が170・4円、当限が157・2円と、17年初頭に比べ、半値水準まで下落している。

 生ゴム営業倉庫在庫は、2017年12月に1万tを超え、18年5月には1万6943tとピークをつけたが、その後は減少傾向を示し、9月は1万2850tとなっている。

〈日銀企業物価指数の動向〉
 17年10月~18年9月の日銀物価指数(速報値)によると、天然ゴムは、

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