年頭所感 住友ゴム工業 池田育嗣社長

2018年01月12日

ゴムタイムス社

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年を振り返りますと、世界経済は、欧米や中国での緩やかな景気拡大と持ち直しに加え、ロシア・ブラジルなど新興諸国でも景気回復の動きが見られ総じて堅調でした。国内経済につきましでも、雇用・所得環境の改善などにより景気回復局面が継続しました。一方、米国大統領の施策や英国のEU離脱の行方、また北朝鮮問題など先行きの不透明感も高まりました。タイヤ事業でも世界需要が増加基調で推移したものの、天然ゴムや石油関連の原材料が一時的に高騰し逆風となったことに加え、中国・アジアメーカーの攻勢による各市場での競争環境はますます激しくなりました。このような環境のもと、当社では国内・海外各市場での高付加価値商品の拡販、製品価格の値上げ実施、生産性改善や経費削減など、収益力強化にグループ全体で取り組みました。

 さて、2018年は国内では、底堅い個人消費等により緩やかな回復が続き、また海外も地域によって不安定さはあるものの、全体としては回復基調が継続すると見ています。一方、当社事業に関係の深い自動車産業は、電気自動車へのシフトや自動運転車の開発加速など大きな変化が起きています。この変化に感度よく対応し、引き続きグローパルでの成長を目指します。また、本年1月1日をもってダンロップスポーツ㈱およびダンロップインターナショナル㈱を住友ゴムに統合するという大きな決断をしました。昨年買収したダンロップブランドを今後の事業展開に活かし、全社で企業価値最大化を図る動きを加速します。

 本年は、これら内外の環境変化に対応しつつ、長期ビジョン「VISION 2020」の目標年度である2020年に向け、確実に目標を超過達成し、業績回復を図る重要な年となります。このような環境のもと、本年の社長方針として次の三点を定めます。

 第一の方針は「変化をチャンスと捉え、力強く成長しよう」です。

 自動車産業は、100年に1度といわれる変革期を迎えています。この変革期に当たり、タイヤは今とは別次元の高い安全性能と環境性能を持った商品が必要になると考えています。そこで当社は、昨年の東京モーターショーで新しい技術開発コンセプト「SMART TYRE CONCEPT」を発表しました。時代に先駆ける商品開発として、早急にこの革新的技術の具現化を図り、スポーツおよび産業品分野でも、付加価値の高い商品をスピーディーに展開し差別化を図ってまいります。

 2018年はダンロップタイヤ誕生130周年を迎えます。我々が受け継いできたダンロップの先進の気概を発揮し、変化を先取りしチャンスと捉えることで、さらなる成長を目指してまいります。

 第二の方針は「中期計画を確実に実行し、収益力を高めよう」です。

 これまで当社は日本・アジアを基盤に新興市場に展開し収益を向上させ成長してきました。また米国グッドイヤー社とのアライアンス解消後は欧米にも注力し事業拡大を図っている段階です。この取り組みのスピードを上げ、全世界でバランスよく利益を稼ぐ体制を構築してまいります。また、本年はスポーツ事業を統合し、ダンロッププランドの活用を全社で進めます。これをタイヤ、スポーツ、産業品全部門で販売促進に活かし、ブランド価値を向上させ、収益力強化につなげてまいります。

 第三の方針は「一人ひとりが成長し、活気ある組織にしよう」です。

 当社がグローパルに事業拡大し成長していくためのベースは、一人ひとりの社員の成長とそれを組織力強化につなげることが重要です。社員には必要な知識・経験を磨くことに加え、自主性を持ち、どんなに困難な課題であっても克服し、目標達成までやり抜く強い意志と熱意あふれる企業人を目指して欲しいと考えています。

 当社では「Go for NEXT」をスローガンに、社会からの期待に応える真に価値ある企業グループを目指して邁進し、「VISION 2020」の目標達成に向け、今後もグループ一丸で取り組んでまいります。

 関係各位におかれましては、なお一層のご支援とご鞭縫を賜りますようお願い申し上げます。

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